09/11/24, 27
■ 卵黄加マンニット食塩培地のコンタミ???
【質問】
 HPをいつも参考にさせていただいております。検査会社で食品検査を担当しております●●と申します。まだ, 食品微生物検査を始めて間もないので, 分からない点があり, メールさ せていただきます。

 日頃の検査で標準寒天培地, 卵黄加マンニット食塩培地に検体希釈試料を塗抹して培養しております。同じ試料を培養後, 標準寒天培地表面にはコロニーが出ないのに, 卵黄加マンニット食塩培地の表面には白色 (表皮) ブドウ球菌??? のコロニーが出てきます。塗抹した形状そのままにのみ生えてくるので, コンタミなのか, 他に考えられる理由があるのかわかりません。培養はどちらも35℃, 48時間です。スタンプ検査についても同様に, 平板培地にスタンプ後の培養結果に差異があります。こちらもスタンプの丸い形状に発育してきます。なにか御示唆をよろしくお願いいたします。

【回答】
 確定的な回答はできませんが, 次のことを確認してください。質問者が検査している検体の種類, 検体試料の希釈倍率, 卵黄加マンニット食塩培地が本当に無菌か否か, 希釈液の無菌性の確認, 質問者が取り扱っている食品検体の希釈液のpH, 卵黄加マンニット食塩培地の表面に増殖する白色のものが本当に微生物か否か。「塗抹した形状そのままにのみ生えてくる」という意味が不可解です (この文章からは, スパイラルプレート法による検体塗抹をイメージします)。

 一般には, 標準寒天培地による検査は“混釈培養法”を用います。卵黄加マンニット食塩培地への塗抹は, 希釈液の0.1 mlをコンラージ棒で培地一面に塗抹する平板塗抹法を用います (この場合は, 塗抹した形状はわかりません)。いずれにしろ, 大変不可解な現象です。正しい検査を妨げると考えられる原因をひとつひとつ除去していく必要があると思います。

(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
 お忙しいところ, ご回答ありがとうございます。原因について調査したところ, 卵黄加マンニット食塩培地がコンタミしていたことが確認されました。目視で確認できない微細なコロニーをコンラージ棒で引き伸ばした結果, 塗抹した形状に発生したことも確認できました。卵黄添加時にコンタミした可能性が高いと思われましたので, 培地作成時に注意して操作しています。その後, このようなコンタミが発生していないのことから解決したと思われます。初歩的なミスから, お時間をいただいてしまい申し訳ありませんでした。 
【読者からの意見】
いつも日課のように拝見させて頂いている者です。11月24日の標題の記事を拝見しまして同様の経験を思い出したもので, ご報告させて頂きます。
「標準寒天培地に菌が検出されず, マンニット食塩培地に黄色ブドウ球菌以外の菌が生育してきた」とのことですが, 当方が以前経験した際は『好塩菌』でした。該当検出菌を釣菌し「食塩加標準寒天培地」で培養したところ, 0%で生育せず, 添加区では生育するという好塩菌の性質を示しました。当時培地の選択機構に興味を持つきっかけとなりましたし, 検体は塩蔵の海藻だったかと記憶しておりますが, 塩蔵品の品質管理とは??? と非常に興味深く感じたのを覚えております。今回の件とはまた違うかもしれませんが, 当方の経験が何かの参考になればと思いメール致しました。何分知識も浅いため, 誤りがございましたらご指摘頂けますと幸いです。これからも楽しみにしております。失礼致します。

戻る