07/05/27
07/05/29
■ 卵黄反応が「陰性」の黄色ブドウ球菌検出
【質問】
 乳牛の乳房炎で黄色ブドウ球菌が問題になりますが, 検出方法として, 日頃「食塩加卵黄培地」を使用しています。ただ, 卵黄反応「陽性」のものははっきりわかるのですが, 卵黄反応が陰性の黄色ブドウ球菌も1枚の培地で検出できる良い培地はないでしょうか???

【回答】
 黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ試験と卵黄反応の結果が良好に一致するため, 卵黄加マンニット食塩培地がブドウ球菌の選択分離培地として頻用されています。しかし, コアグラーゼ試験が「陽性」にも拘わらず, 卵黄反応が「陰性」の黄色ブドウ球菌が約10%前後存在するとされています。単一培地で目的とする菌種をすべて検出する培地は存在しませんので, 検出精度を高めるためには選択性と識別能の異なる培地または選択性のない培地と選択培地を組み合わせて使用する必要があります。しかしこの方法は煩雑であり, コストの問題が発生します。卵黄加マンニット食塩培地に代わる黄色ブドウ球菌の選択培地には, 我々が検討したX-SA寒天培地 (日水製薬) があります。この培地は, 集落の色調で菌種を鑑別します。X-SA培地は卵黄加マンニット食塩培地に比べ菌種識別能が優れ, 典型的菌株と非典型的菌株ともに菌発育支持能が優れることを本研究会誌に報告しました[http://www.jarmam.gr.jp/jarmam/16-2/jp/03.html]。参考にして下さい。しかし, 先に述べたように, 単一の培地で目的とするすべての菌種を検出することができないことを念頭にして, 使用する培地を選別することが大切です。

(琉球大学・仲宗根 勇)


【質問者からのお礼】
 丁寧な回答をありがとうございました。質問をメールしてからもいろいろと試行錯誤しておりましたので, 早速取り寄せて試してみたいと思います。ありがとうございました。


戻る