07/11/16
07/11/26
■ 冷却水のレジオネラ検査について
【質問】
 いつも参考にさせていただいています。私は大学病院の細菌検査に勤務しています。今度, 病院の冷却水のレジオネラ検査を実施するにあたり, メンブランフィルター濾過法とフィルター貼付法を比較しようと思っています。そこで実際検査を行っている施設に見学に行ったのですが・・・

(1) 「冷却水をそのままフィルターにかけると, フィルターがすぐ詰まってしまう」と言われました。なので私たちはフィルターに掛ける前に, 滅菌ガーゼで濾すか, 濾紙を滅菌して濾過するか・・など考えています。何か参考になるような文献等がありましたら教えてください。

(2) また, 「通常は酸処理または (or) 熱処理を実施する」と本には書いてありますが, そこの施設では, 酸処理と (and) 熱処理をしても, 陽性桿菌や真菌が生えてくると聞きました。その点は検討して比較しようと思っていますが, レジオネラは (これらの酸と熱の) 2重処理しても生きているのでしょうか。。

 すみません, もうひとつお願いします。

(3) レジオネラの防止指針では, メンブランフィルター濾過法, フィルター貼付法, それぞれ (検査する液) 量が決まっていますが, 採水量がはじめから異なっていると, 検出率にも差が出るように思いますが, 採水量は同量にしてよいのでしょうか???

 長くなりましたが, 良いアドバイスを宜しくお願いします。

【回答】
(1) 滅菌ガーゼでろ過を行なっても, 大きなごみは取り除けますが, 小さなごみは取れないので, あまり効果は得られないと思います。ひとつの方法として, フィルター孔径0.22 μmから0.45 μmに変えてろ過すると, 0.22 μmより多少引き易くなると思います。どうしても駄目な場合は, 冷却遠心濃縮法しかないと思います。

(2) 2重処理をすると菌にかなりダメージを与えるのは確かですが, 処理時間をきっちり守れば大きなダメージは少ないと思います。それから真菌対策ですが, 今市販されている培地の中では, 栄研化学のWYOが真菌の発育を最も抑制する培地だと思います。

(3) メンブランフィルター濾過法は菌数が多くても問題ありませんが, 検出限界は10 CFU/100 mlです。フィルター貼付法は, 検出率はフィルター上の菌数をカウントするので, 菌数が多くなれば, コロニーが重なりカウントできなくなります。ただ, 1 CFU/100 mlまで検出可能です。このように, 単位は「/100ml」となるので, 検出率は問題ないと思います。それより採水方法により検出率に大きな差が出るような気がします。

(愛媛県総合保健協会・栗下 英雄)


【質問者からのお礼】
 レジオネラ検査についての回答ありがとうございました。回答で指摘されたように, 検体の採取方法でかなり検出結果が異なると思います。ぬるぬるとした, いかにもアメーバーがいそうな部分をこさいで水を採取すると, 濾過がなかなかできないので大変です。回答を参考にさせていただきます。


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