09/01/28, 02/04
■ 血液培養から“Rhodotorula spp.”
【質問】
 ●●市の一般病院に勤めております■■と申します。検査技師をしています。いつもこの「質問箱」を参考にさせていただいています。一つ質問をさせてください。

血液培養から酵母様真菌が検出され, レンガ色のスムースなコロニーが発育し, “Rhodotorula spp.”と同定されました (同定は外注検査です)。この真菌の名前は初めて聞く名前で, 色々な教科書やネットで調べてもあまり詳細なことは記載されていません。感受性試験も外注なのですが, とても時間がかかるようです。そこで教えていただきたいのですが, この真菌はどのような菌なのか, 抗真菌剤は何を選択したらよいのか, 教えていただけませんでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いします。

【回答】
 確かに臨床材料からは, Candidaと比べで出会う機会は極端に少ないかもしれませんが, 環境中 (土壌, 水, 空気など) には広く分布する酵母真菌です。大きな特徴は, サブロー寒天培地でオレンジあるいはピンク色に着色した菌集落が観察されることで, この特徴から一目で判別できます。この「質問箱」にも既に紹介されています[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/cp-tenka_poteto.html]。

http://anu.andong.ac.kr/~hysohn/rhodotorula-glutinis.jpg
ttp://www.jarmam.gr.jp/situmon/img/cp-tenka_poteto.jpg
 この酵母真菌が血液から分離される危険因子としては悪性腫瘍に代表される免疫抑制と、異物、特に中心静脈カテーテルの留置があげられています。

 薬剤感受性についてですが, AimeeらがNCCLS (現在はCLSI) 勧告法でMICを測定した成績では, 他のCandidaと比べてもamphotericin B, flucytosineには充分感性なのですが, fluconazoleといったazole系抗真菌薬とcaspofungin, micafunginといったechinocandinには高いMIC値 (耐性) を示すとされています。治療の第一はカテーテルの抜去と免疫力の回復で, 抗真菌薬としてはamphotericin Bあるいはfluconazoleの14日間投与が多いようです。我が国の検査室でも汎用されている抗真菌剤薬剤感受性試験では, Candidaと比べ若干発育が遅いようですが, 1週間以内には菌発育の有無から結果を判定できると思います。

〔参考文献〕
Aimee K. Zaas et al.: Risk of fungemia due to Rhodotorula and antifungal susceptibility testing of Rhodotorula Isolates. J. Clin. Microbiol. 41: 5233-5, 2003.

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 お忙しい中, ご回答いただきありがとうございました。今後も参考にさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。


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