08/12/08
■ 緑膿菌の監視培養
【質問】
 いつも勉強させていただいております。●●県の施設に勤めています臨床検査技師の■■です。

 当施設では, MRSAの保菌者について, 月一回監視培養をしています・・・というのも, 重症児の方もおり, 腸ろうや胃ろうを利用した経腸栄養を利用している方や, 呼吸器感染しやすい方(・・・コンプロマイズドホストに入るのでしょうか???) もいらっしゃるので行っている状況です。その際, 緑膿菌も検出され, 日和見感染しやすいということで監視培養をしています。この緑膿菌の監視培養は有効なのでしょうか??? MRSAが3回連続で「陰性」になり, MRSA保菌者リストから外れても, 緑膿菌が検出されていれば監視培養を続け, その内またMRSAが検出され・・・の繰り返しです。このまま継続してもよいのか, 誰も意見がありません。どうかアドバイスをお願いいたします。

【回答】
 耐性菌の監視培養は, 主に周囲への伝播を防ぐために行われますが, 免疫不全患者や慢性疾患患者がMRSA保菌者になると一見除菌されたようにみえても後日また検出されることはしばしば経験されます。もう除菌は困難と判断すれば, 監視培養を繰り返すことは止め, 保菌者として対応する場合もあります

 緑膿菌については, 多剤耐性緑膿菌, 多剤でなくても1〜2剤耐性菌については, 他への伝播防止のため, 消長や耐性状況の推移確認のため監視培養が必要ですが, 耐性傾向のみられない緑膿菌であれば通常は監視の対象になりません。ただし, 造血器悪性腫瘍などの治療中の患者で日和見感染を念頭に置いた菌叢把握を目的に監視する場合はあります。

 検査室側では監視の目的や臨床的な状況がわかりにくいですし, 検査依頼する医師が漫然と培養を指示している場合もあるかもしれませんので, 担当医や感染対策チームのメンバーと, 監視の目的や必要性について話し合ってみてはいかがでしょうか

(虎の門病院・米山 彰子)

【質問者からのお礼】
 回答ありがとうございました。この件については, 医師と相談してみたいと思います。また何かありましたら, 質問させていただきたいと思います。本当にありがとうございました。


戻る