09/01/28
■ 採用時の結核検診 (ツ反強陽性・喀痰培養不能)
【質問】
 一般精神科病院勤務の検査技師です。院内感染防止対策委員として職員の健康管理に携わっております。

 職員採用時の検診で, 下記のようなツベルクリン反応「強陽性」で喀痰培養ができない場合, 追加検査をどうすべきかご助言よろしくお願いします。

 50歳看護師で胸部X線にて繊維性変化一部あり。ツ反60 mm・硬結 (+), 結核患者との接触歴なし。無症状。

 喀痰の排出がないので塗抹培養検査を断念し, 産業医は抗抗酸菌 (抗体) 検査を依頼しました。結果は「陰性」でした。

【回答】
 BCG接種歴があり, 結核患者との接触歴のないツベルクリン反応「強陽性」者について潜在的結核感染の可能性を考えて内服治療を行うかどうかの問題です。結核を思わせる臨床症状やX線所見がない状態で, 追加検査の候補は“クオンティフェロン”ですが, これも結核の既往で陽性を呈する可能性があるため, この場合には有用性は低いと考えられます。胸部X線や臨床症状を注意深く経過観察するのがよいと思います。平成元年の厚生省の通知「予防内服の適応基準」でも, BCG既接種者についてはツベルクリン反応の基準に加えて「かつ最近の結核感染が強く疑われる場合」の文言が加えられており, ツベルクリン反応だけを根拠に過剰な予防内服が行われることをいましめていました。

(虎の門病院・米山 彰子)


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