09/10/29
■ サルモネラの血清学的試験について
【質問】
 いつも大変参考にさせていただいております。冷凍食品メーカーの品質管理を担当しているものです。サルモネラの試験について質問させて頂きたいことがあります。

 例えば, 「食品からの微生物標準試験法検討委員会」による「サルモネラ属菌標準試験法(090218)」のように,「定型的なサルモネラと確認された菌株はO 抗原の血清学的試験を行い, サルモネラであることの確定およびO抗原群について決定する」,「サルモネラの定型的な生化学的性状を示したにもかかわらず, いずれの血清にも凝集が認められないときはO 群型別不能とする」とあるなど, 血清学的試験を行うことが書かれているものがあります。このように, 凝集が認められない場合を型別不能の「サルモネラ」とするということは, つまりO抗原の血清学的試験の結果に拘わらず,「サルモネラ陽性」と判定するということならば, 例えば食品メーカーでの出荷判定としての自主検査レベルで血清型別試験まで実施する意義というのは何があるでしょうか???(血清学的試験が疫学的調査に有意義であることは理解しているつもりのですが)。それとも何か根本的に理解の誤りがありますでしょうか??? 教えていただけませんか。よろしくお願いいたします。

【回答】
「食品メーカーでの出荷判定としての自主検査レベルで血清型別試験まで実施する意義」という質問ですが, 食品からの微生物標準試験法検討委員会で述べている方法は, 公定法 (行政処分を実施する時や国と国の貿易を行う時の微生物基準を設定する時の方法など) としての検査法について検討しているものですから, 自主検査レベルとしては多くの場合, 血清型別試験まで実施する必要はなく, ほとんどの場合は生化学的性状試験でサルモネラの有無を判断します。回答者がよく経験するのは, CitrobacterSalmonellaと間違えてしまうことですが, O多価血清での凝集反応により誤同定せずにすむということがしばしばあります。質問内容とは違いますが, 冷凍食品は大腸菌群が陰性でなければなりませんので, O 群型別不能のような細菌は, 例えサルモネラでなくても大腸菌群に属する細菌であることが推察できます。冷凍食品としては出荷できません。重複しますが, 血清学的試験は質問者も書いている通りサルモネラを調査する上で重要です。また, 自主検査レベルではでO多価血清による凝集反応によるサルモネラの確認で十分だと考えます。

(日水製薬・小高 秀正)


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