■ 生菌数試験の使用培地について | |
【質問】
はじめまして。●●で検査業務を担当しております■■と申します。 日本薬局方において, 微生物限度試験法で細菌の試験をおこなう場合, ソイビーン・カゼインダイジェストカンテン培地を使用するとなっております。また, 参考情報の製薬用水の品質管理では, 生菌数評価をおこなう場合, 標準カンテン培地を使用するとなっております。ソイビーン・カゼインダイジェストカンテン培地と標準カンテン培地はどちらも選択性が広く広範囲な菌を生育させる培地ですが, なぜこのように使い分けされているのでしょうか??? 【回答】
ソイビーン・カゼインダイジェストカンテン培地はペプトン含量が2%と栄養豊富な培地で, 広範囲の菌の発育を支持する一方, 環境に生息する貧栄養従属栄養細菌といわれる菌群では栄養豊富なため, 逆に発育しにくい傾向があります。標準寒天はペプトン0.5%, 酵母エキス 0.25%, ブドウ糖 0.1%と栄養成分が少なく, 貧栄養従属栄養細菌の発育に適していると言われています。 以上のように, 培地の使い分けは, 培地組成 (栄養成分濃度) およびそれぞれ規格化されている法律 (局方, 食品衛生検査指針, 水道法など), 対象 (環境) および目的 (検出か増菌か) が異なっていることに起因すると思われます。 製薬用水の生菌数評価法用培地や上水試験法には, 標準寒天よりもさらに栄養成分濃度が低いR2A培地が指定されており, 理由として環境水や水道水のように有機栄養物が少ない環境に生息している細菌類は高濃度の有機栄養成分を含む培地ではコロニーを形成するほど増殖できないものが多いため, 従来の培地の1/10程度に減少させているということからも推測されます。 (日水製薬・三品 正俊) 【質問者からのお礼】
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