09/10/26
■ 選択分離培地AFB培地に発育した細菌の同定
【質問】
 大変お世話になっております。私は実験動物施設で検疫の仕事を行なっている者です。AFB培地に発育した菌の同定方法について質問いたします。

 当施設では気管スワブの培養にAFB培地を使用しておりますが, 同定のためにハートインフュジョン培地に植え替えても発育しない菌があります。試しに血液寒天を用いてみたところ, 微小コロニーが生えましたが発育速度が遅く十分な菌量が採れませんでした。API20Eで検査をしてみましたが, 菌の発育状態が疑問で判定結果に信頼がおけませんでした。

 Pasteurella pneumotropicaが否定できればよいので, 同定までの必要はないかもしれませんが, このような場合, どの増殖培地を用いて同定していけばよいでしょうか。

【回答】
 生育してきたコロニーがPasteurella pneumotropicaであれば, 5%ウサギ血を添加したTryptic Soy agarで37℃, 24時間培養すれば良好な生育が得られると考えます。培地の種類だけではなく, 培養条件, 例えば嫌気, 微好気なども検討したら如何でしょうか。ちなみにPasteurella pneumotropicaは通性嫌気菌ですので, 好気条件下での培養は問題ないです。同定の目的で菌量が欲しいなら, 弱い生育が得られた血液寒天培地 (あるいはAFB培地) の培地枚数を増やして培養したらどうでしょうか。特定の培地に生育した (特に選択性の強い培地にたまたま生育してきた) 目的とする菌種以外の細菌 (想定外の細菌) を至適条件で培養するのはなかなか難しいです。

(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)


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