07/02/02
■ 選択分離培地と選択増菌培地の違い
【質問】
 初めまして。わたしは現在, 微生物学を勉強中の大学生です。

 質問があるのですが・・・増菌培地を使用することについてはどんな意味があるのでしょうか??? 例えばサルモネラの選択増菌培地としてハーナーとかセレナイト培地とかがありますが, 菌を分離同定する際に, DHLやSS寒天培地への塗沫, そしてその後に通常の栄養培地に純培養という方法ではだめなのでしょうか??? 増菌培地じゃなくても細菌は増菌されるのでは??? そもそも選択分離培地と選択増菌培地の違いとは何でしょうか??? 教えてください。

【回答】
 選択増菌培地, 選択分離培地は検体 (検査材料) から目的の菌を分離する際に使用します。一般的に菌を分離する場合, 下記のような方法になり, 増菌培地が「選択増菌培地 (液体培地)」, 寒天培地が「選択分離培地」になります。

 (1) 検体から直接, 寒天培地に塗布して分離する。

あるいは
 (2) 検体を増菌培地で増菌後, その一部を寒天培地に塗布して分離する。

 検査材料中に目的の菌が極めて少ない場合, 選択性のない増菌培地では比率として多い他の細菌が優勢に発育し, 場合によっては目的の細菌の増殖が阻止され, いる筈の目的菌が検出されない場合もあります。そのため選択増菌培地に選択性をもたせ, 検体中のその他の細菌の増殖を抑制して目的の細菌のみを選択的に増殖させることができます。選択増菌培地から寒天培地に分離する場合にも, 目的の細菌以外のものも混在するため, 非選択寒天培地を用いると, 菌数は少ないものの, コロニーが大きかったりしてきれいに分離することが難しい場合もあります。そのため, 寒天培地での分離の際にも, 目的の細菌を効率的に分離するために選択性を持った選択分離培地を使用することもあります。 

(日水製薬・三品 正俊)


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