■ 試料採取には1-mlピペット??? 2-mlピペット | |
【質問】
いつも拝見させていただき, 色々勉強させていただいております。今回細菌検査サンプルの摂取方法について課内で議論になり, 先生のご意見をいただきたいです。 私の会社では混釈法で検査を行い, メスピペットでサンプルを1 ml採取して2枚ずつシャーレに撒いています。そのメスピペットについてなのですが・・・ 1-mlのメスピペットを使用して, 2回採取し, 撒くのがいいのか, 2-mlのメスピペットを使用して, 1回で採取して撒くのがいいのか, どちらがよいのでしょうか。1-mlのピペットで2回サンプルを取ったほうが菌を拾う可能性が高くなる。 という意見と , 2-mlのピペットで1回サンプルを取り, 撒いたほうがコンタミの可能性が低くなるという意見があります。どちらがいいのか正直わかりません。よろしくお願いします。 【回答】
検査精度に関して言えば, 細菌の世界は10倍希釈の世界だと認識しています。甚だしく言えば, 1 ml分注するところを1.2 ml (1.2倍) 分注しても結果は変わらない世界です。コンタミ (雑菌の混入) に関して言えば, 0.1-mlのピペットで10回分注してコンタミするかしないかは検査を行う者の技量 (匠の技) が決定的要因です。また, 選ぶピペットの容量の差が小さくなればなる程, 正当な理由での選択に苦慮するのは当たり前です (だんだん理由が曖昧になるという意味)。 いろいろな要因を充分に吟味して, 選んでください。ひとつの選択にはいつも, 得られる部分 (長所) と失う部分 (短所) が共存していると考えてください。むしろ, そのような議論をすることこそ, 検査の質と限界を正しく認識できる機会があると思います。それと, 検査を担当する方は“匠の技”を追求してください。かつて私達は1-mlのピペットを使って, どの程度正しく色素液の2倍希釈系列が作れるか (後で分光光度計で実測), ガラス板に滴下した液を用いたピペットでの希釈系列の作成など, “匠”を極めようと努力したものです。 (琉球大学・山根 誠久)
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