09/08/24
■ 食品検査 (海藻) での希釈液の違い
【質問】
 はじめまして。貴研究会ホームページをいつも参考にしております。海藻を取り扱っている●●開発営業部に所属しております。当社では海藻 (乾燥アオサ) について自社で微生物検査をしております。微生物検査について教授いただきたくお願い致します。

 当社では, 海藻の微生物試験において生理食塩水を使用していましたが, ある検査グループでは, 生理食塩水を使わずに, 蒸留水をリン酸緩衝液でpH 7.2に調整したもので海藻の微生物検査をしていると伺いました。そこで当社でも同様の方法で, 生理食塩水を使用したものと, 使用しないものを比較した検討しました。その結果, 生菌数・大腸菌・大腸菌群すべてにおいて, 生理食塩水を使用しないものの方が菌数が高い結果となりました。このことから, 生理食塩水を使用した方は海藻に含まれる塩分の影響により塩分濃度が高くなり, 菌を傷つけたため, 検査結果に大きな違いが出たのではないかと推測するのですが, このことに対しご教授戴けますか。よろしくお願い申し上げます。

【回答】
 質問者は「検査結果に大きな違い」と記載していますが, 何オーダー (10^) の差が認められたのでしょうか。また, 同じ実験を何回繰り返したのでしょうか。生理食塩水の塩分濃度は0.85%です。アオサは100 g当たり4.5 gのナトリウムを含んでいます (五訂日本食品標準成分表)。回答者は, このわずかなNaCl量の違いにより, 細菌の発育が著しく違う例を知りません。食品衛生検査指針 (2004年) には, 希釈液として0.1%ペプトン加生理食塩水, リン酸緩衝生理食塩水, 生理食塩水の3つが記載されています。以上のことより,「塩分の影響により検査結果に違いが出た」のではなく, むしろ「実験操作上の違い」が原因で違いがでたものと推測します。

(日水製薬・小高 秀正)


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