10/02/10
■ 食品細菌検査の精度管理
【質問】
 はじめまして。洋菓子メーカー●●の商品保証室に所属しております■■と申します。大変参考になるので, このHPをいつも拝見させていただいています。

 微生物検査では, サンプルに9倍量の滅菌水を入れ, ストマッカで破砕混合後, 寒天培地にて培養しております。先日, 社外監査員より, “微生物検査精度の確認を行うよう”御指摘をいただきました。精度確認においては, 外部セミナーに参加する等もあるようですが, 出来れば自社内で検証できるようなものを探しています。何か良い方法やキットなどがあるのでしょうか??? 一般的には, どのように検査精度確認を行っているのでしょうか??? ご教授いただきたく, よろしくお願いいたします。

【回答】
 食品微生物における精度管理には, 外部の機関が主催する「外部精度管理」と, 質問の中にあるような検査室内にて定期的に行う「内部精度管理」があります。それぞれの精度管理手法にはそれぞれの意義があり, 内部精度管理は日々行っている検査手技や使用している培地が検査に用いるのに充分な条件を満たしているか否かを確認するものです。他方, 外部精度管理は同じ様な検査を実施している他の検査室と比較することによって自検査室で行っている検査および結果を客観的に (第三者的に) 確認するものです。内部精度管理については, あらかじめ含まれている菌量が分かっている生きた菌株を用いて, 使用している培地の発育支持力や無菌検体 (加熱加工品や缶詰などが有効) と共に菌株を添加して発育してくる菌量を定期的に確認します。ちなみにあらかじめ菌量が正確に判明している市販菌株製剤には, シスメックス・ビオメリューから発売されており, “BioBall”という製品があります。食品微生物の精度管理用菌株としてEscherichia coli, Enterobacter aerogenes, Staphylococcus aureusの3菌種が利用可能です (培地の内部精度管理用として30 cfu, 手技の精度管理用として10,000 cfu)。また, 国内で多くの食品微生物検査室が参加している外部精度管理には, 日水製薬 (株) が主催しているサーベイランスが利用できます。

(シスメックス・ビオメリュー 小林 武)


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