07/03/12
07/03/14
■ 消化血液の調製方法
【質問】
 2年程前から腸内細菌の嫌気培養を行っています。無菌マウス作出の過程において, 胎盤, 子宮および胎児消化管乳剤の直接塗抹標本 (グラム染色) で確認された細菌様のものが菌なのか否か, 菌であれば生菌であるか死菌であるかを確認する方法を模索しています。この乳剤 (10倍希釈) をEG寒天培地およびマウス用のM10培地に接種後, グローブボックス内で37℃6日間培養してみましたが, コロニーは確認出来ませんでした。直接塗抹標本で確認された菌数がそれほど多くなかったので, とりあえず増菌培地 (液体) を試してみようと思い, 「腸内細菌学 (光岡知足編)」の巻末にあるEGF液体培地を作製することにしてみました。しかし, 消化血液のpH調整のところでつまずき (書いてある通りのNaOH量を添加してもpH 7.6にならない), 困ってしまいました。そこで, 消化血液について以下のことをお伺いします。

(1) 消化血液の調製方法の詳細 (pHの調整およびろ過・・ろ紙なのか, ろ過滅菌なのか)

(2) PepsinはDifco社製ではなく, Sigma社製のものを使用したが, この選択に問題はないか (力価(1: 10,000)同等品ではあります)

(3) 消化血液は, 培地作製時のどの時点で添加するのか (オートクレーブ前か後か)

 液体培地は, 一応煮沸溶解後にねじ付き中試に分注し, 121℃で20分オートクレーブ。その後で素早く冷却してからグローブボックス内に搬入しようと考えています。ちなみに, 顕微鏡下で確認された細菌様のものは, 形態から推測するとLactobacillus, Bacteroides, Clostridium (Fusiform bacteriaも) のようでした。これらの細菌は, 難培養菌が多く含まれていることも承知しております。まだまだ専門知識が乏しく, 液体培地については試したことがありません。他にも試してみる価値のある液体培地などがありましたらご教授ください。ひょっとしたら担当外の質問かもしれませんが, 宜しくお願い致します。

【回答】
(1) 「消化血液」については, 私自身作製した経験がありませんので, 成書に記載されている内容を紹介します。ペプシンについては, 酵素活性が同じであれば問題ないと思います。pHの調整後にろ過滅菌して冷所に保存します。液体培地調製時には, 基礎培地をオートクレーブ滅菌した後, 冷やしてから無菌的に添加します。こうして調製された消化血液はFildes EnrichmentとしてDIFCO社より市販されています。

(2) Lactobacillus, Bacteroides, Clostridium (Fusiform bacteriaを含む) などの嫌気性菌を増菌させるための液体培地としては, GAMブイヨン (日水製薬), ABCMブイヨン (栄研化学), Brucella Broth (DIFCO) などの製品が市販されていますので参照ください。
 

(日水製薬・三品 正俊)
【質問者からのお礼】
 お礼遅くなりまして申し訳ありません。頂いた回答を参考に, いろいろ試してみたいと思います。ありがとうございました。

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