10/06/08
■ 黄色ブドウ球菌の薬剤感受性
【質問】
 黄色ブドウ球菌にてβラクタマーゼ検査とMPIPC感受性を行っています。βラクタマーゼ (+), MPIPC (S) の場合, 結果報告としてどのようにした方がよいのでしょうか。また, どのように解釈したらよいのでしょうか。

【回答】
 菌株の同定結果は黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusで、β-ラクタマーゼ試験, この場合, 実際にはペニシリナーゼというペニシリンを分解する酵素を産生する菌株で, 加えてMPIPC (オキサシリン) に感性 (susceptible: S), つまりメチシリンを含むすべてのペニシリナーゼ抵抗性ペニシリンに感性を示す菌株ということです。私なら“ペニシリナーゼ (あるいはβ-ラクタマーゼ) 陽性メチシリン感性黄色ブドウ球菌”という結果として報告します。1960年以前, MRSAが出現する以前に広く分離されていた性状をもつ黄色ブドウ球菌となります。

 ちなみに, β-ラクタマーゼとMPIPC感受性 (MRSAか否か) はまったく独立した, 無関係の別のものです。前者はプラスミッドに, 後者は染色体遺伝子に管理されています。従って, (1) β-ラクタマーゼ陰性メチシリン感性黄色ブドウ球菌, (2) β-ラクタマーゼ陽性メチシリン感性黄色ブドウ球菌, (3) β-ラクタマーゼ陰性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌, (4) β-ラクタマーゼ陽性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の4種類が存在します。

(琉球大学・山根 誠久)


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