07/01/15
■ 耐熱性菌について
【質問】
 いつもお世話になっております。食品製造会社で品質保証を担当している者です。耐熱性菌の検査において:

(1) 75℃で15分間加熱
(2) 100℃で10分間加熱

した物で, (1)ではコロニーが約200カウントされたのに対し, (2)ではコロニーがまったくカウントされませんでした。この違いは菌の種類によるものだと考えておりますが, (1)の条件の加熱では生存していて, (2)の条件では死滅する菌にはどのようなものがあるのでしょうか??? また, 耐熱性菌で菌種によって何℃以上の加熱に耐性があるのかを教えていただけないでしょうか。

【回答】
 熱死滅条件は, 菌自体の状態や菌が存在している食材によって変わってきます。文献〔芝崎 勲: 微生物制御とその基礎 微生物と温度. J Antibact Antifung Agents 13: 569〜580, 1985〕で紹介されている死滅条件を一部記載します。Acetobacter aceti(酢酸菌)は80℃で5分間, Lactobacillus bulgaricus (乳酸桿菌)は71℃で30分間, 炭疽菌は100℃で2〜15分間, セレウス菌(栄養細胞)は60℃で0.13分間 (D値: 生菌数が1桁, 101低下するのに要する加熱時間), 芽胞は100℃で0.8〜14分間 (D値) などです。どのような菌が何度で死ぬのかということを知るより, むしろ質問者自身が耐熱性菌検査で分離した菌を同定して, あらためてD値などを求める検証をすることが大切だと思います。

(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございます。耐熱性菌のD値を求めてみようと考えております。ご指導ありがとうございました。
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