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【質問】
初めてメールさせていただきます。私は某食品会社に勤める者です。初歩的な質問ですみませんが,
“耐熱性菌でグラム陰性の桿菌とはどのようなものがありますか???”普通であれば,
グラム陽性芽胞桿菌というのが一般的な耐熱性菌だと私は認識しているのですが,
100℃で約10分加温した後に培養したところ, 普通寒天培地にコロニーが発生し,
それをグラム染色したところグラム陰性桿菌が見られ, 理解しかねています。宜しくお願いします。
【回答】
耐熱性のグラム陰性桿菌として挙げられるのは, Thermus属やThermomicrobium属などで,
これらの耐熱性細菌は温泉や土壌など, 恒常的に高い温度環境にある場所に広く分布するものですから,
一般の通常温度の環境からはあまり単離されないと考えます。100℃で10分加温した後,
“グラム陰性桿菌”が見られたことは, 有芽胞桿菌の可能性が高いと思います。確かに通常であれば,
有芽胞桿菌は“グラム陽性”であると一般的に認識されています。しかし, 培養時間などの影響によっては,
本来グラム陽性の筈のものが赤く染まる場合がしばしばあることはよく知られています。特に,
Paenibacillusなどの従来Bacillusとされていた菌群においては,
若い細胞でもグラム染色陽性を示さないことが知られています。今回の質問で,
正しい判断結果を得るためには, 耐熱性が見られたことから, グラム陰性菌でも芽胞を形成するか否かの観察は重要なポイントです。また,
培養期間を短くしてグラム染色を行ってみるのも価値があるかもしれません。
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