09/01/13, 15
■ 天然酵母パンの安全性
【質問】
 いつも様々な質問や回答を閲覧して勉強させていただいております。

 近年「天然酵母」と俗に言われる“パン”を目にします。定義はあいまいで, 果物, 穀物, ヨーグルトを材料として蜂蜜や砂糖の液につけてパン用の酵母を増やしてパンを作る手法です。糖濃度や塩の添加, pH等で酵母以外の増加を抑える工夫はされているようです。酵母が増えて醗酵できたとしても, 本当に安全な酵母による製パンなのか, いつも疑問に思っています。

 この天然酵母パンの安全性について調査した事例があれば教えていただけないでしょうか???

【回答】
 天然酵母についての明確な定義は見当たりません。しかし, インターネットなどで調べてみますと, 一般的に流通している酵母 (パン酵母: Saccharomy cescerevisiae) と区別するために, 果実などに付着している酵母を各人が増殖させた酵母の呼び方だと理解しました。まず, パンとは精説応用微生物学 (光生館) によりますと,「小麦粉にパン酵母、水などを加えてこねた生地を焼き上げたものである」とあります。パン酵母は総合食品事典第六版 (同文書院) によりますと,「パン製造に使用される酵母で清酒酵母、ビール酵母と異なるところは発酵生産物がパン特有の風味をもっていることと培養によって収量よく得られることである」と記載されています。質問者が記載されている「醗酵」は, 食品衛生事典 (中央法規) によりますと,「醗酵とは、微生物の代謝あるいは酵素作用により、糖類そのほかの有機物が酸化、還元または分解、合成され、ヒトに有益な別の有機化合物になる化学変化をいう。腐敗は同じく微生物の作用であるが、ヒトに有害な物質を生成することである」と書かれています。

 以上のことより, いわゆる天然酵母でパンを作ったということは, パンが出来ていること (パン特有の風味があること) と「醗酵できた」ということから, ヒトに安全だと考えられます。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 回答ありがとうございました。以前, パン特有の風味と食感に違和感がある天然酵母パンを買ったことがあり, 変な酵母が何か悪さをするのでは??? と考えておりました。このようなアプローチの仕方があるのだと大変勉強になりました。


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