09/11/20, 24
■ TGC (チオグリコレート) 培地の白濁
【質問】
 初めまして。いつも勉強させて頂いています。食品会社の品質検査室にて勤務しております●●と申します。

 この度, 弊社にて「容器包装加熱加圧殺菌食品」の製造が新しく始まり, 無菌試験を実施することになりました。試験も含め10回ほど試験を実施したのですが, 今回のみ, 調製したTGC (チオグリコレート) 培地上部に白いラインのように見えるものが何本か確認されました (写真を添付致しますので, ご確認下さい)。25本ほど作成して, 10本ほどがこのような状態になりました。いつもの作成手順として, 培地を規定量量り取り, 精製水で混釈した後に加温溶解し, 試験管に分注してオートクレーブにかけた後, 流水で急冷し, 一晩冷蔵庫で保管して試験に供しております。作業者に確認したところ, いつもと同様の手順で調製したが, 急冷する際, 少し作業台の上に放置 (15分間程度) してしまった時間があるとの返答でした。

 この培地は使用しても差し支えないでしょうか??? また, 何が原因でこうなったのでしょうか??? ご面倒ですが, よろしくお願い致します。

【回答】
 写真を見る限り, 培地はピンク色がかった白い濁りが生じています。ピンク色はTGC培地の嫌気度が不十分のため, レサズリンが着色している証しです。これは急冷する際, 少し作業台の上に放置したことも原因になると考えられます。しかし, これが原因ならば, すべての試験管がこのような状態になるはずと思います。さらに, 培地の上部に生じた白い濁りのことが気になります。質問では作成した25本の内, 10本ほどこのような状態になったと書かれていますが, ピンク色かつ白い濁りは10本のみでしょうか??? そうすると, 単なる培地の嫌気度の問題だけではないと考えます。また, 培地組成の問題でもないと推察されます。何らかの原因による培地のコンタミについての可能性があるでしょうか??? オートクレーブに問題がないでしょうか??? コンタミによる培地の変色と白い濁りを生じる可能も考えられます。コンタミについてのもっとも簡単迅速な確認方法は, 白い濁り部分を顕微鏡で見ることですが, 平板培地を用いてコロニーを形成するように培養するのも手法の一つと考えます。

 日水製薬のTGC培地の説明によると, 培地の上部1/3以上が紅色を呈したときはこの培地は使用できないとされています。さらに, 原因不明の濁りがあるので, この培地の使用はお勧めしません。

(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)
 
【質問者からのお礼】
 ピンク色かつ白い濁りは25本中この10本のみです。オートクレーブについてはインジケーターテープを毎回貼付して確認したところ, 良好との報告が上がっております。次回発生したときには検鏡と培養を行い, コンタミネーションの有無を確認したいと思います。このようなことが発生した場合, 作業員には使用を控えるよう通達致しました。稚拙な質問にもかかわらず, 丁寧な御回答, 有難うございました。

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