10/07/05
■ チオグリコレート (TGC) 培地の判定法
【質問】
 初めまして。いつも「質問箱」を拝見し, 勉強させて頂いています。私は佃煮・惣菜製造会社の品質管理室で細菌検査を担当している者です。今の職場に赴任して2年弱ですが, 細菌検査結果の判断に困惑してしまいましたので, 判定基準を教えて頂けないでしょうか。

 通常通りに細菌検査をし, 判定しようと試験管を見ると, 培地のブランクと生理食塩水を加えたブランクともに異常なし (陰性)。自社製品1検体陰性反応 (5本中5本とも陰性)。以降2検体目〜7検体目のすべて (30本) が, 通常上層部に出来る紫色が全体になると言う反応になってしまいした。通常判定してきた中で, 今迄にこのような反応を示したことがなっかたので, 日水製薬が出版している「培地マニュアル (2006年発行)」を参照しようとしたのですが, ACブイヨン・EC培地・乳糖ブイヨン培地・BGLB培地といった判定法は記載されていたのですが, TGC培地に関しては記載がなく, 判定基準 (陰性・陽性), 何を原因と考えるか?? 同時に画像も添付しておりますので, 宜しくお願いします。

・TGC培地
 ニッスイ粉末300gタイプにて加温溶解し, 分注後滅菌。冷却して使用。
・試料
 自社製品のレトルト製品の煮豆 (検体1〜7と同じ) を生理食塩水を加えストマッカーにて原液調整した。

【回答】
 TGC培地の判定は“培地の濁り”で行います。TGC培地はチオグリコール酸塩を含むため, 培地の酸化還元電位が低く, さらに寒天を含んでいるため通常の液体培地より空気の混入がしにくくなっています。TGC培地での増殖として, 好気性菌は試験管の上層, 嫌気性菌は下層, 通性嫌気性菌は培地全体に濁るため, 培養後の増殖具合 (濁りの状態) をよく観察することにより, 発育している細菌がどのような菌かを推測することもできます。「上層部に出来る紫色」は検査する人により表現が異なりますが, 一般的には「赤色」という表現が常用されています。この着色は, 培地中のレサズリンが空気と接触するため発色するものです。このため, 培地を作製して保存しておくと経時的に空気が培地中に溶解して, 赤色部分が広がってゆきます。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】 
 初歩的な疑問点にご丁寧な説明をして頂き有難うございました。厚く御礼を申し上げます。また何か不明な点がある際にはご質問をさせて頂きたいと思いますので宜しくお願い致します。


戻る