■ 海洋由来の細菌の同定 | |
【質問】
はじめまして。私は●●大学農学部3年の■■というものです。今回メールを送らせていただいたのは細菌の同定に関してわからないことがあり, よろしければ助言をいただけないかと思ったからです。お忙しい中とは思いますがよろしければ回答をいただけますと幸いです。 微生物 (海洋細菌) の属までの同定を目的とした実験をしたのですが, 同定をした菌がどの属に当てはまるのかがわからずに困っています。 菌の特徴
おそらくVibrioではないかと思うのですが, 同定表で確認するとPasteurellaの可能性もあります。Pasteurella に関しては, 動物によく見られているようなので違うかなとも思いますが, 魚のブリにも病気として見られるようでよくわかりません。 また, 培養後に見られる粘性の物質についてもどんなものなのか知りたいです。粘性物質に関して・・β-N アセチルグルコサミターゼ活性を調べるときに水酸化ナトリウムを加える前から, パラニトロフェニールは黄色に呈色していたので, この物質はアルカリ性なのではないかと思います。 何かこのような菌の同定, 特徴に関し, 良い本などありましたら教えてください。下らぬ質問かもしれませんが, ご助言の程, よろしくお願いいたします。 【回答】
“培養後に見られる粘性の物質”についての質問ですが, 粘性の物質を産生する菌は自然界に広く認められ, 例えば川底の石の“ぬるぬる”は細菌の産生する菌体外多糖 (グリコカリックス: glycocalix) で構成されたバイオフィルムであると言われています。ムコイド型集落を形成する緑膿菌や虫歯の原因となるミュータンス菌は, このグリコカリックスによって組織や歯牙表面に付着し増殖するとされています。また菌種によって違いはあるかもしれませんが, この粘性物質の主成分はアルギン酸 (alginate) と呼ばれる粘性の強いムコ多糖であるとも言われています。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭) |