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【質問】
はじめまして。臨床検査学科2年の■■と申します。お忙しい中誠に申し訳ありません。
実習レポートを作成している際に疑問に思ったのですが, “Vibrio parahaemolyticus”には莢膜が存在しない筈なのに,
K抗原 (莢膜抗原) が存在するのはなぜなのでしょうか???“Vibrio parahaemolyticus”が莢膜様構造物
(粘液層またはbiofilm) を持っている??? ためでしょうか???
学生の身分で申し訳ございません。どうかよろしくおねがいします。
【回答】
V. parahaemolyticusは莢膜 (capsule) を持っており, その抗原性によってK抗原型に分けられます。V.
parahaemolyticusの株を寒天培地上に展開すると, 混濁したS型集落と透明な集落が見られることがあります。このうち透明な集落は莢膜が脱落しているとされており,
型別にはS型集落を用います。S型集落の生菌ではK型別は可能ですが, O (somatic
antigen) に対する凝集が阻害されていることが普通であり, O群別の場合には菌体を121℃で1時間加熱することによって莢膜を取り除く操作が必要です。このことから,
莢膜はほぼ完全に菌体を覆っているものと考えられます。なお, V. parahaemolyticusのK抗原は,
他の細菌のK抗原と同様に, 多糖体 (capsular polysaccharide: CPS) が本体と考えられています。
(デンカ生研・権平 文夫)
【読者からのお礼】
お返事遅くなり申し訳ございません。教科書 (医歯薬出版・臨床検査学講座微生物)
には“V. parahaemolyticusには莢膜はない”と記載されていたため疑問に思っていました。お忙しい中ありがとうございました。大変助かりました。
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