研究案内
Parkinson病および関連疾患に関する研究
Parkinson病は、中脳黒質のドパミン神経の変性脱落による動作が遅さ(運動緩慢)、筋緊張の亢進(筋強剛)、ふるえ(静止時振戦)などの運動症状に加えて、自律神経症状(起立性低血圧、便秘、排尿障害)、認知・精神障害、睡眠障害などの非運動症状がみられる。私たちはParkinson病の非運動症状を評価することで診断精度を向上させる研究を行っています。また、非運動症状に対する治療法開発のための研究も行っています。
自律神経に関する研究
自律神経はあらゆる臓器を支配し、調節していますので、その障害は生命にかかわります。自律神経の障害による症状は、たちくらみ(起立性低血圧)、便秘(大腸運動障害)、頻尿・尿失禁(排尿障害)、多汗・無汗など多彩で、これらは日常生活の質(QoL)を著しく低下させます。私たちは自律神経障害の病態を明らかにすることで治療法を開発し、生命予後とQoLを改善させることを目指しています。千葉大学および信州大学との共同研究も行っています。
心理学的研究
心理面に問題起こす神経疾患は少なくありません。また脳に生じた器質病変自体が情動・精神症状を起こす場合もあります。我々は情動・精神症状のメカイズムが明らかにすることを目的にな情動・精神症状と病変との関連を研究を行っています。結果として治療につながるとことを期待しています。また、心理・情動活動の生理学的指標の探索を行っています。これらの研究は慶応大学心理学専攻の梅田聡教授と共同で行っています。
神経免疫介在性疾患の研究
フローサイトメトリーと蛍光活性化細胞選別など用いて多発性硬化症、視神経脊髄炎などの神経免疫介在性疾患において、病初期及び経過の病態背景変動のモニタリングを行い、それを評価・解析することで、積極的治療介在及び調整に役立てる研究を行っています。
免疫介在性神経疾患の臨床および免疫学的動態の解析
自己免疫や感染に起因する神経疾患において、患者血液や髄液を用いたリンパ球サブセット解析は細胞性免疫病態を把握する上で有益な情報をもたらします。当研究室では、フローサイトメトリーによるリンパ球亜分画の高解像度な解析データを得ることにより、治療方針の策定や予後の推定に有用な免疫学的パラメーターを特定することを目的に研究を行っています。これまでに、ウイルス性中枢神経感染症の病態形成に関与する免疫学的特性や、多発性硬化症や視神経脊髄炎の細胞性免疫と神経炎症に関して、新規治療法の確立に繋がる多数の知見を得ています。今後はこれまで得られた成果について臨床的な検討を重ねながら、免疫学的および分子生物学的アプローチにより発展させていくことで、よりよい治療法の開発を目指して研究を進めていきます。
脳脊髄液中制御性T 細胞(Treg)の検出
結核性髄膜炎患者から採取した脳脊髄液(上段中)を各種蛍光標識抗体で染色し、フローサイトメーター(上段右)を用いてリンパ球分画(上段左)よりCD4陽性CD25陽性CD127陰性の制御性T細胞を検出(下段右、破線囲)を検出している。