・心室中隔欠損症
・心房中隔欠損症
・ファロー四徴症
は、先天性心疾患の中でも最も一般的な疾患です。
心臓手術は、心臓を停止させたり、人工心肺を使用するなど、体に大きな負担をかける侵襲的な手術です。また、通常、胸に大きな傷が残り、成長期の子供たちにとっては心理的な負担となります。
金沢医科大学では、次の2つの特徴を持つ体に優しい手術を提供しています。
1.創部が短い(短い切開)で行う手術
2.精確で迅速な手術
これにより、手術後の回復が迅速で、傷跡も最小限に抑えられることが期待されます。私たちは最新の技術で、心臓病を持つ子供に最適な治療を提供しています。

心室中隔欠損症に対する当科の治療
心室中隔欠損症とは?
心臓は左右の部屋に分かれていますが、下の壁(心室中隔)に孔が開いている病気です。
欠損孔を大量の血液が左心室から右心室へと流れるため、肺へも大量の血液が流れ込み、その分体への血液供給量が減少します。
そして、もし治療を受けない場合・・・
・肺の血管が硬化し、肺高血圧症が発生します。
・乳児は十分にミルクを摂取できず、体重が増えません。
・治療が遅れると生命に危険が及びます。
そのため・・・
孔が大きい場合は、乳児期に手術が必要な場合があります。

傷の長さはどれくらい?

*心室中隔欠損の中で、肺動脈弁下型という比較的高い位置にあるもの、肺高血圧の強いもの、他の疾患を合併したものなどでは、皮膚の切開は少し大きくなる場合があります

4ヶ月、5.5kgの乳児
皮膚切開の長さは3cmでした
皮膚小切開は難しいから手術が長くならない?
手術時間は長くなりません。お昼頃には終了することが多いです。

手術を素早く行うのはなぜ大切?
正確な技術で迅速な手術を行うと・・・
1.出血量が少なくなります。
2.呼吸器が速やかにとれます。
3.ミルクの摂取が早く始まります。
4.退院が早くなります。
5.将来の発達に悪影響を残しにくくなります。
心房中隔欠損症に対する当科の治療
心房中隔欠損症とは?
上部の心壁(心房中隔)に孔が開いている病気です。この結果、心室中隔欠損症と同様に、肺へ大量の血液が流れ込み、体への血液供給量が減少します。
心室中隔欠損症に比べて、症状が現れるのが遅いことが一般的ですが、孔が大きい場合は治療が必要です。

傷の大きさは?
金沢医科大学では、脇の下を数センチ切開する皮膚小切開手術を実施しています。年長の患者に対しては、内視鏡を使用し、モニターに映し出される映像を確認しながら手術を行うことで、短い傷にて手術を実現しています。


8歳の女の子。傷の痕は1.5cmでした。
お友達も手術したことに気が付きませんでした。
ファロー四徴症に対する当科の治療
ファロー四徴症とは?
1.心室中隔欠損症
2.肺動脈狭窄症
3.大動脈騎乗
4.右室肥大の4つの症状を伴う疾患です。
肺への血液供給が減少し、それにより体への酸素供給が不足します。これによってチアノーゼ(皮膚や粘膜の青紫色の変色)が生じます。
この病気には、乳児期に手術が必要であるとされています。早期の手術は、適切な酸素供給を確保し、健康を維持する上で望ましいものとされています。

傷の長さは?

手術時間は?
通常お昼過ぎに手術は終了します。

金沢医科大学小児心臓血管外科は、軽症例から重症例まで、あらゆる心臓疾患に対して質の高い手術を追求しています。県外からお越しのお子様も多数受け入れています。治療に関するご質問があれば、いつでも以下までご相談ください。
お問い合わせ
- メール:
- ご相談窓口:080-2964-1839
担当医

安藤 誠(科長)
京都大学卒業後、東京女子医科大学などで臨床研修
米国テキサス小児病院・クリーブランドクリニックにて小児心臓外科診療
前榊原記念病院小児心臓血管外科部長、手術経験は6000例を超える

西野貴子(副科長)
心臓血管外科専門医・修練指導医
日本胸部外科学会評議委員