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今後のセミナー

2015年4月14日 中間成果発表会 
16時から 病院新館12階小会議室
特別講演1 講師:ERATO 村田脂質活性構造プロジェクト 大阪大学大学院理学研究科  松岡茂准教授
「脂質-脂質分子間相互作用の固体NMR研究」
 細胞膜疎水部における分子間相互作用は、細胞内外物質移動の障壁だけでなく、膜タンパク質の構造形成・機能発現、細胞膜構成分子の集合・分配によるドメイン形成など、ダイナミックな生理機能発現に関与する。主にフレキシブルな脂質アルキル鎖で形成される細胞膜疎水部では、水素結合などの指向性を有する相互作用の寄与が少なく、構造形成に対する分子論的アプローチが困難であり、分子間相互作用に未解明な部分が多い。
 最近我々は、固体NMRの原子間距離測定法を応用して、スフィンゴミエリンとフォスファチジルコリンがそれぞれのコレステロール含有秩序液体相において、異なる性質の分子間相互作用を有することを明らかにした。本講演では、生体膜の固体NMR法の簡単な紹介も含めて、スフィンゴミエリン膜内の分子間相互作用ついて得られた新しい知見を報告したい。

特別講演2 講師:大阪大学大学院理学研究科 化学専攻 樺山一哉准教授
「細胞膜分子イメージングの新たな試み」
 我々は脂質ラフトの機能および構造の解析に向けて、生化学・分子生物学的手法の他に、蛍光顕微鏡によるライブセルイメージング、電子顕微鏡による局在および構造観察、質量分析装置による糖脂質解析などを組み合わせて、細胞膜脂質の組成変化が起こす様々な現象をダイナミックに捉えていきたいと考えている。特に最近では細胞膜分子の動態解析に注力しており、コレステロール除去法や糖鎖改変細胞を用いて、蛍光標識した細胞膜分子の膜流動性を、FRAP法により計測している。また、RICS法やFCCS法を用いた細胞膜分子の新しい動態解析法の活用も試みている。さらには、マイクロ流体デバイスを用いた層流イメージングなどを新たな解析ツールにすべく研究を進めている。これらの解析手法を細胞膜脂質の役割解明に積極的に取り入れて行くことで、病態における脂質ラフト矯正療法とも言うべき新たな治療戦略にも貢献して行きたい。