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【質問】
JARMAMのホームページを見て, メールいたしました。質問箱のバックナンバー
(食品微生物) で「ラクリス菌はグラム陽性, 陰性???」のタイトルを拝見しました[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/lac.html]。回答文にある「Lactobacillus
brevis」は、パストゥール医学研究センターが発見したラブレ菌ではないでしょうか???
ラクリス菌は三共の商品だと思うのですが???
【回答】
前の質問[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/lac.html]の主眼点がグラム染色に関するものでしたので,
正式菌種名と通俗名についての説明をおろそかにしておりました。ご指摘のように“ラブレ菌”は京都の発酵漬物「すぐき漬」から岸田綱太郎博士
(パストゥール医学研究センター) が発見したものであり, “ラクリス菌”は中山大樹博士による発見であります。訂正し,
誤解を招いた点をお詫び申しあげます。ラブレ菌もラクリス菌も通俗名称であり,
これらの菌株を応用した健康食品が多数出回っております。それらの商品案内をみておりますとラブレ菌,ラクリス菌,
両名称ともにLactobacillus brevisやLactobacillus brevis subsp.
coagulansが学名として記載されております。しかし, 現在国際細菌命名規約に基づくIJSEMに登録されている正式菌名リスト[http://www.dsmz.de/bactnom/bactname.htm]を見るとLactobacillus属には112菌種
(19亜種) が掲載され, Lactobacillus brevisも1菌種として登録されていますが,
Authors(Orla−Jensen 1919; Bergey et al. 1934), type strain (ATCC 14869)であり,
さらに亜種Lactobacillus brevis subsp. coagulansの記載は見られません。ゆえにラブレ菌やラクリス菌の正式菌種名をLactobacillus brevisと表現するには無理があるように思え,
むしろ菌株名とする方が妥当ではないかと考えます。ただし, ラブレ菌やラクリス菌を新菌種や亜種として提案されているものと思われますので,
現段階での私的解釈として回答しました。いずれにしろ, 岸田綱太郎博士 (パストゥール医学研究センター)
が発見したラブレ菌をラクリス菌と記載した点は間違いでしたので, 関係各位に再度お詫び致します。
(大手前病院・山中喜代治)
【質問者からのお礼】
さっそくのご回答と詳細なご説明をありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
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