03/05/07
■ レジオネラ菌属の同定について (その2)
【質問】
 先の質問[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/legionella.html]に回答いただき, ありがとうございました。

 菌の濃度の違いというのは, 「遠心分離濃縮法」で検査していると起こりうることでしょうか??? 現在, 通常の「遠心分離濃縮法」を行い, WYO-α寒天培地に100 ml×2枚に塗布後, 5日〜7日間, 37℃の培養庫で培養しています。5日目に確認できるものを, 区画したB-CYEα寒天培地と血液培地に塗布後, 2〜3日同条件で培養し, 判定する方法をとっています。この方法でこれまで3検体を試みましたが, まだ最初のWYO-αの寒天培地にコロニーが確認できない為, 次の段階に進めません。

 また検体は, 今は近くのスーパー銭湯などの湯を使っています。採取する際には脱塩素剤を入れ, 24時間以内に検査しています。pHの誤差はどのようにすればよいのでしょうか???今は特にpHの測定などはしていないのですが, 行ったほうがよろしいでしょうか???

 お手数ではございますが, またご指導賜れましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

【回答】
・菌濃度の違い
菌濃度の相違は遠心分離濃縮法でも起こります。菌濃度の違いは元々の検体に含まれる菌体細胞数に依存しています。サンプル量が多ければ多いほど含まれる細胞数は多くなるはずです。培養法および推定確認方法は質問に記載された方法で十分だと思います。

・pH誤差について
 pHの修正は必要ありません。下記にレジオネラ症防止指針 (厚生省生活衛生局企画課監修: 財団法人 ビル管理教育センター) での検水採取法と処理法を紹介します。参考にして下さい。

(1) 採取量: 100〜500 ml (最低100 ml)
(2) 塩素含有水の中和: 25%チオ硫酸ナトリウムを1/500量加え中和する。
(3) 濃縮 (冷却遠心濃縮法)
検水100〜200 mlを5,000〜7,000 rpm, 30分間遠心する。
上清を捨て, 1〜2 mlの滅菌水で管壁を洗い, 沈査を懸濁する。
0.2M HCl KCl 緩衝液, pH 2.2を1 ml加え, 25℃に4分間放置する。(他に加熱処理法があります)
100 μlを培地へ塗布します。

 酸処理の種類については, 0.2M HCl KCl 緩衝液に比べ, 0.1Mクエン酸カリウム・クエン酸緩衝液 (pH 2.2) を濃縮検水に等量加えると検水のpHが 2.5〜2.7となり, 緩衝作用が強く, レジオネラ以外の混在微生物の発育を抑制するため, レジオネラを高率に検出できたという報告もあります。

 検水の濃縮法は, 他にメンブランフィルター濾過法, フィルター貼付法があります。上記文献を参考にして下さい。

(琉球大学・仲宗根 勇)

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