■ “劉の反応”について教えてください | |
【質問】
お世話になります。私は健康食品の会社で試験を担当しています。身近に試験について聞ける人がいないので, 色々なマニュアルや文献を参考に試験をしております。この質問箱も参考にしています。 グラム染色がうまくいかないとの質問のなかに“劉の反応”について載っていました[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/gram4.html]。私もグラム染色でいつも苦労していますが, この“劉の反応”に興味を持ち, 図書館, ネットサイトなどで調べましたが, 見つけることが出来ませんでした。詳しく知りたいのですが, 教えていただけないでしょうか??? “劉の反応”で使用する3%KOH水溶液はどの位作ればよいか, 使用後の処理の仕方など・・・。本当に初歩の質問で申し訳ないのですが, どうぞ宜しくお願いします。 【回答】
(1) 石炭酸水法
[文献1 劉 栄標: 極めて簡単なる「グラム」陰陽性菌鑑別法, 東京医事新誌 No.3102, 35, 1938] (2) 濃硫酸法
(3) 水酸化カリウム法
[文献2 Ryu, E.: A simple method of differentiation between Gram-positive and Gram-negative organisms without staining. Kitasato Arch Exp Med 17, 58, 1940] [文献3 劉 栄標: グラム陰陽性菌の簡易鑑別第_法に就いて. 日本獣医学雑誌 1: 204, 1939] 3% 水酸化カリウム水溶液の作成量につきましては, 日常使用量に応じて考えればよいわけで, 必要最少量にしておくとよいでしょう。また1株につき0.05 ml程度の利用量ですから, 使用後の処理の仕方は検査終了後の滅菌処理と水洗で十分と思います。 劉先生は, グラム陰性菌29菌種103株とグラム陽性菌21菌種108株を用い, 先に概説した3つの方法を行っています。この中で石炭酸水法について, グラム陽性菌は顕微鏡によるグラム染色性と同じであったが, グラム陰性菌のうちNeisseria gonorrhoeae 9株を始め6菌種, 19株すべてが染色法と一致しなかったと報告しています。これに対し濃硫酸法と水酸化カリウム法では, 嫌気性菌のClostridium tetaniの1菌種 (20株) のみがグラム陰性菌と同様の反応 (染色性と不一致) を示した以外はすべて良好であったと述べています。このようにグラム染色に代わる完全な検査法とは言えませんが, ひとつの補助検査としては利用できるものと私は考えております。 (大手前病院・山中 喜代治)
【質問者からのお礼】
ご回答ありがとうございました。早速, 試験に取り入れてみます。また質問をする機会があるかもしれませんが, その時は宜しくお願い致します。 |