03/08/19
■一般生菌の表記法について
update 03/08/21 【質問】
 私は2年前に今の部署に異動になりました。 細菌学については特に勉強したわけではありません。 自主検査では, 飲料を採取 (飲料水, 希釈水, 氷雪) してきて、, LB培地, デスオキシコレート培地は1倍, 標準寒天培地は10倍, 100倍して培養しています。 デスオキシコレートは24時間。 LB, 標準寒天は48時間後に判定しています。 デスオキシコレートはめったに出ることもなく, 出たとしても少ないので実数を記入しています。 LBについては (+)/(−) で記入しています。 標準寒天につきましては, 今までは<10, <30, <100, <300, <1,000, <3,000と表記してきました。 冷水, 氷雪については, 100より大きいものは (1.2×10^2)と3桁目を四捨五入して表記してきました。飲料水については, 3,000より大きい数を上記のように表記してきました。

 ここからが質問です。“<10, <30, <100, <300, <1,000, <3,000”・・・この表記では分かりずらいというのです。<100では1なの, 99なのといわれると言うのです。判定は「良」なのに!!! 10倍と100倍希釈なので, 足して2で割った数を記入しても良いのですか??? また, 元が10倍希釈なので, 一の位は四捨五入して10単位の記入になるのでしょうか。

 客先に, ご存知の人がいても恥をかかないように質問しています。どうか宜しくお願致します。

【回答】
 質問の内容も, 表記方法も分かりづらいものです。

 何故, 10, 30, 100, 300, 1,000, 3,000という数値を, 報告する成績を“区分する値”として採用されたのでしようか。その“区分する値”を決めたのはだれなのでしょうか??? 検査する施設, すなわち貴方の施設が決めたのではないでしょうか。とすると, “区分する値”をこのように決めた理由を説明するのは貴方の施設の筈です。しかも, “<10”はいいとしても, “<100”, “<300”という表記は, “30〜99”, “100〜299”という表現が正しいと考えます。

 10倍と100倍で観察された菌集落の数を足して2で割った数で表記してよいかというと, それも検査する施設が検査方法と報告方法を予め依頼者へ提示すればよいだけです。しかし, 何故, 10倍と100倍というふたつの異なる希釈率で検査するのか考えてください。菌集落の数をより正確に計測するためです。例えば, 10倍希釈での菌集落数が85個, 100倍希釈での菌集落数が5個とすると, 私なら, 10倍希釈での菌集落数を採用して, 8,500 = 8.5×10^3個/ml (寒天への接種量が0.1mlの場合) と報告します。「正確に菌集落を数えられる最も低い希釈率の成績を採用するという原則」に則って判定します。

 いずれにしろ, 定量的に計測された菌濃度 (例えば8.5×10^3個/ml)を施設で敢て決めた半定量値, “<100”や“<300”に変換して報告している訳ですから, 施設内で定量値 (実測値) で報告するのか, 半定量値で報告するのか, それともいっそ定性判定 (良, 不良) で報告するのか, 顧客に提示すればよい問題だと考えます。

 関連する下記の質問についても参照ください。

http://www.jarmam.gr.jp/situmon/teisei_teiryo.html

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 ご多忙のところ, 質問に対してのお答え, 有難うございました。回答の結果を踏まえ, 上司と相談の上, 今後のことを考えたいと思います。有難うございました。


[戻る]