03/03/20
■ 凍結乾燥法で使う“スキムミルク”の代用について
【質問】
 私は化粧品原料を扱う会社に勤めており, 商品の抗菌性試験を行うことになりました。大腸菌, 緑膿菌, 黄色ブドウ球菌, カンジダ菌, 黒麹菌の5種類の菌を凍結乾燥法で長期保存しようと考えたのですが, 分散媒 (保護剤) のスキムミルクの値段が高すぎると上司に渋い顔をされてしまいました。シロウト考えなのですが, スキムミルク (生化学用) を, 市販の粉ミルクで代用できないものでしょうか??? あるいは保存方法から考え直した方がよいのでしょうか??? このようなバカな質問を出してよいものか悩みましたが, どのようなご回答でも返していただけると幸いです。よろしくおねがいします。

【回答】
 結論から申しますと市販の食用スキムミルクで代用可能と思われます。しかし食用スキムミルクは多種多様な商品 (Ca強化などの成分強化) があり, 細菌保存への影響は不明ですが, その成分によっては使用を避けた方がよい商品もあります。また現在では終息しましたが, 一部のメーカー商品ではブドウ球菌のエンテロトキシンAが検出された商品や, スキムミルク中の細菌数が基準を超える商品などがあったことが報告されています。他の分散剤としては血清, 澱粉などがありますが, スキムミルク分散剤が取り扱い容易であるため汎用されていますが, 一般に菌の保存は血清よりは劣るとされています。
 保存方法から考え直した方がよいのでしょうかという質問ですが, 菌株の保存方法はいくつもあり, 保存する菌種や目的, 設備によって出来るだけ簡便な方法を使用されたらいかがでしょうか。今回の保存菌種はいずれも他の方法でもかなり長期保存が可能な菌種群です。本質問箱の[菌株の冷凍保存について]を参考になさって, 簡便な方法を採用されたらいかがでしょうか。

http://www.jarmam.gr.jp/situmon/kinkabu_reitou.html
(琉球大学・仲宗根 勇)

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