|
【質問】
始めまして鍼灸師をしております■■と申します。
こちらの質問箱の「オートクレーブと硫酸紙」[http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/autoclave-ryusan.html]の質問で,
硫酸紙やアルミホイルを“滅菌内容物に蒸気が入らないように”するために使用しているようですが,
私の認識ですと“蒸気は滅菌効果を高める役割で, 滅菌対象物は蒸気に当たらないとイケないもの”だと思っていました
(いわゆる湿式オートクレーブの場合です)。ですから, 滅菌パックも蒸気を通す物だと認識しておりました。湿式オートクレーブで,
蒸気に触れさせることなく滅菌できるものなのでしょうか??? 試験管に対象物を入れてゴム栓をしたような場合でも滅菌できるのでしょうか??? よろしくご教授お願いします。
【回答】
オートクレーブで滅菌する際には多量の蒸気 (水滴) が発生しますので,
その水滴が培地などに多量に入らないようにするためと理解しています。補足説明が必要とも思われますが,
通常は, 培地をコルベンで滅菌する場合には, 培地の沸騰を防ぐために綿栓をし,
疎水性の硫酸紙で包んでいます。試験管に対象物を入れ, ゴム栓をした場合の滅菌も出来ますが,
圧力の関係でゴム栓がはじけてしまうことを経験しています。従って, 高圧の環境下で高温により滅菌することが原理で,
蒸気が直接滅菌対象物に触れないといけないとは理解していません。
(愛媛大学・村瀬 光春)
【追加回答】
ちょっとした誤解があるようです。硫酸紙やアルミホイルを被せる理由は大量の水
(滴) が培地や試薬などに入って希釈されないようにするのが目的です (特にオートクレーブが終わって,
無理に早く常圧に戻すような場合, 時に沸騰して溢れたりしますから)。質問者の指摘は正しく,
湿熱 (水蒸気) 滅菌と乾熱滅菌を比べた場合, 湿熱滅菌がより効果的です。それは水分が存在する状態での加熱のほうが,
細菌を含むすべての生物のもつ水素結合を効率的に乖離させるからです。また水蒸気は熱容量も大きく,
熱の浸透性も高いことも有利となります。ただ, 実際の状況では, ほとんどの場合,
湿式オートクレーブ内は水蒸気でほぼ均一に満たされることから余り気にしないで滅菌を行っていますが,
例えばシリコン・パッキングを付けて完全密栓されるような場合には栓を弛めてからオートクレーブにかけます。
|戻る|
|