■ 血液培養でのイソジン消毒について | |
【質問】
当院では, 血液培養の検査を外注に委託しているのですが, その案内書に「血培のための採血方法」として, (1) 患者の皮膚をエタノールで消毒後ヨードで清拭, 乾燥後採血, (2) 培養ボトルのゴム栓はヨードで消毒後エタノールでふき取っておくと書いてあるのですが, ヨードの部分をエタノール一回に済ませることは何か問題がありますか??? もっと簡潔な消毒法がありましたら教えてください。そもそも, イソジンを使うのはなぜですか??? また, この方法で採血した血培でStaphylococcus epidermidisが (少数)〜(1+) 報告されることが5回に1回ぐらいであるのですが, これは表在菌が混入しているのでしょうか??? コンタミを起こしやすい手技的原因などありましたら教えてください。微生物検査を実習以来したことがないので, 基本的質問かとは思いますが, よろしくお願いします。 【回答】
基本的な部分は, ヨード消毒をエタノール1回で済ませたいということですが, 消毒方法を変更したとしても, 恐らく目立った変化は観察されないでしょう。血液培養の総検体数を分母として, 消毒方法の変更による影響 (雑菌混入の増加あるいは減少の件数) を分子としてモニター, 比較しても有意差が観察されないという意味です。では, 変更してもよいではないかということになりますが, 一方で, ヨード剤はその消毒効果のスペクトラム (微生物の種類) と持続性においてアルコールより優れた特性が期待できるという理論的な推論も無視できません。どちらの方針 (ポリシー) を採用するかというのは, 病院の意志決定に属することです。 S. epidermidisが5回に1回 (20%) の頻度で分離されるというのは, 許容範囲を超えています。目標値として3%未満になるように改善が求められます。明らかに注射針を血管に刺すことで, 皮膚常在菌を血管内に押し入れ, 一過性の菌血症を高い頻度で起こしています。実際に採血の現場を見ていませんので, どのような問題があるのかは判断できませんが, 消毒の方法 (例えば, イソジンがちゃんと乾燥してから採血しているか???) と採血の方法 (例えば, 消毒した後に不潔な手で触診していないか???) を採血の現場に行って, 直接確認することを勧めます。 (琉球大学・山根 誠久)
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