05/10/26
■ DESO培地の赤変と倒置
【質問】
 初めてのメールです。さっそく質問なのですが, “DESO培地”は陽性だと赤変を起こしますが, なぜ赤変を起こすのでしょうか??? あっそうだ。それと授業でシャーレーを培養時は裏返して置きました。“倒置”と言うようです。なぜ倒置するのでしょうか???

【回答】
 DESO培地 (Desoxycholate 培地) の主要な組成は1,000mlあたり乳糖が10 g, 中性紅 0.033 g, デスオキシコール酸ナトリウム1 gを含有する培地で, 主として食品からの大腸菌を検出する培地です。多くの大腸菌は乳糖を分解します。分解によって生じた酸がデスオキシコール酸ナトリウムから不溶性のデスオキシコール酸を析出させ, 同時に中性紅と結合して集落が赤くなります。簡単に言い換えますと, 培地中に含まれる糖を分解することによって起こる酸性化をpH指示薬の色調変化で発育集落を鑑別する原理です。ですから乳糖非分解菌種は発育しても透明か, 培地そのものの色調になります。また陽性 (赤色)の表現ですが, 発育集落の表現方法には用いません。表現するなら, “発育集落は赤色, または発育集落は赤色で乳糖分解菌種です”とした方がよいでしょう。発育した赤色以外の集落は陰性とは表現しませんので。

 シャーレを裏返す理由はこの「質問箱」に既に回答してあります。参照して下さい[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/share_hantai.html]。

 培地の色調は, 含まれるpH指示薬の種類で様々です。材料を塗布する前に, 自分が使用している培地の組成を確認することを心がけて下さい。この訓練を繰り返すことによって, 発育した集落の色調などで, ある程度発育した菌種名が推定できるようになると思います。細菌集落は多種多様な色調や光沢を作りますので, 楽しく興味を持って観察することです。頑張って下さい。

(琉球大学・仲宗根 勇)


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