06/07/18
■ 菌株の継代培養と保存
【質問】
 いつも内容を拝見し, とても勉強になっております。私は製薬メーカーの研究部に所属し, 微生物試験を担当しております。

 “菌株の保存と継代”[http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/kinkabu-hozon.html]でご回答のあった継代保存について質問がありますのでよろしくお願い致します。扱っている菌株は, Escherichia coli, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Candida albicans, Aspergillus nigerの5菌種です。普段, 菌株を継代する際には, 試験管にシリコン栓をした斜面培地で継代培養しております。「継代保存にはスクリューキャップの付いた試験管入り斜面培地のほうが, 乾燥を防ぐことができるため, 継代保存には適する」とのことですが, 継代培養にもスクリューキャップの試験管入り斜面培地を使用しても差し支えないのでしょうか??? 継代培養には“シリコン栓”, 継代保存には“スクリューキャップ”といった具合に使い分けをした方がよろしいのでしょうか??? 以上よろしくお願い致します。

【回答】
 結論から申しますと,継代培養にスクリューキャップの試験管入り斜面培地を使用しても差し支えありません。“スクリューキャップ”と“シリコン栓”という形状は違っていても,蓋ができて, 乾燥が防げ,真菌の胞子などが飛散し難いという目的はいずれも達成できますので,問題はないと思います。ただスクリューキャップの方がシリコン栓のように試験管内に入り込まず,かつ試験管の口を覆いますので,汚染の防止という意味においては有効かも知れません。回答者の“継代保存”という表現で迷われたのかと思いますが,スクリューキャップ付きであれば培地が乾燥し難いため,継代培養してそのまま比較的短期間であれば保存可能であろうという意味で使用しました。継代培養をするということにおいては同じ意味です。

(公立玉名中央病院・永田 邦昭)

【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございました。好気性菌はシリコン栓でなくてはいけないと思い込んでおりました。たいへん勉強になりました。


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