■ 菌株の保存と継代 | |
【質問】
私は現在, 化粧品メーカーで研究開発部に所属しております。保存効力試験を行うことになったのですが, 標準菌株の保存方法が分かりません。保存方法としては凍結が一番よろしいのでしょうか??? また, 凍結した菌をどのように起こせばよいのでしょうか??? 保存方法と継代培養方法について, 使用培地も含めお教え下さい。使用する菌株はEscherichia coli, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Candida albicans, Aspergillus nigerの5菌種です。よろしくお願い致します。 【回答】
私の施設では,凍結保存に使用する分散剤としてスキムミルクや市販の“マイクロバンク”という製品などを使用していますが,他にもいくつかありますので,下記のURLを参考にして研究目的に適した保存法を採用してください。 [http://www.jarmam.gr.jp/situmon/keidai_baiyo.htm]
[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/kinkabu_reitou.htm]
継代培養に使用する培地は,基本的に使用する菌が発育可能な非選択培地であれば問題ないと思います。例えばE. coli, P. aeruginosa, S. aureus であれば普通寒天培地で十分だと思いますが,凍結状態から復活させるときなどには,菌数の減少や菌株のダメージなどを考慮して,栄養豊富でより発育支持力の高い血液寒天培地を使用することもあります。真菌の継代に使用する培地としては,ポテトデキストロース寒天培地やサブロー寒天培地などの真菌用培地があげられますが,菌株の保存にはブドウ糖の含有量を減らした(1%)サブロー寒天培地が使用されます。スクリューキャップの付いた試験管入り斜面培地のほうが,乾燥を防ぐことができるため,継代保存には適すると思います。また胞子の飛散もシャーレの培地よりも軽減されると思います。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭)
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