05/06/28
■ ラウリル硫酸X-GAL・MUG液体培地について
【質問】
 毎回勉強させていただいております。今回は, よろしくお願いいたします。私は飲料メーカーで品質管理を担当している者です。現在, 大腸菌群・大腸菌検出用のラウリル硫酸X-GAL・MUG液体培地を使っています。そこで質問なのですが: 

(1) この培地は検査時間の短縮はできるのですが, どの程度信頼してもよいものなのでしょうか??? 通常はBGLB培地での検査なのですが, 取引先によってはラウリル硫酸X-GAL・MUG液体培地の方を指定されるところもあります。

(2) また購入当初より培地の色が若干濃くなった気がするのですが, 結果に影響が出るなどということはあるのでしょうか???

ご指導のほどよろしくお願い致します。

【回答】

「上水試験法解説編 (2001) 日本水道協会」の大腸菌群試験方法の変遷によると, 平成4年の「水質基準に関する省令」(厚生省令第69号) の検査方法で, LB-BGLB法に加えて1種類の特定酵素基質培地法が追加採用されました。さらに2001年版の上水試験法では3種類の特定酵素基質培地法が追加され, 酵素基質毎に整理してONPG法とXGAL法として掲載されました。2004年4月にはLB-BGLB法が削除され, 酵素基質培地だけになりました。酵素基質培地は一部“誤陽性”を生じる可能性があるものの, LB-BGLB法で見逃されていたガス非産生株を捕捉できるという優位性や, 培養時間の短縮が可能になるという利点 (LB-BGLB法は4_7日間の培養であるに対し, ONPG法やピルビン酸添加XGAL-MUG培地では24時間培養)が大きいということで試験方法が変わってきています。酵素基質培地の信頼性は, 日本水道協会が中心となって膨大な評価をして「公定法」として認められていますので信頼してください (蛇足ですが, ピルビン酸添加XGAL-MUG培地は回答者らが開発した培地です)。また培地の色に関しては, この質問箱の食品微生物の項目,「培地が変色してしまった」[http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/baichi-henshoku.html]を参考にしてください。性能にまったく問題はありません。

(日水製薬・小高 秀正)

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