05/12/12
■ 点滴中の患者の血液培養について
【質問】
 ▲▲▼▼と申します。○×県の病院で検査技師をしているものです。

 血液培養を静脈から採取する場合に, 同じ静脈のより末梢の部位から点滴を行っている場合, 点滴液の混入があり, 培養結果の感度が下がったりはしないのでしょうか??? もしくは気にせずにそのまま培養に出してよいのでしょうか??? よろしくお願いします。

【回答】
 高濃度の有効な抗菌剤を点滴している菌血症の患者の心臓に近い側の静脈を穿刺して血液培養の検体を採取した場合を想定してみたらよいと思います。この時, 点滴していなかったら, 血液培養は本来陽性になるべきなのに, 陰性になってしまう可能性は, 理論的には, 血液の流速や循環血液量による希釈, また点滴部位と採血部位の距離, 採血の陰圧の強さなどが影響すると考えられます。点滴部位の極々近いところで, 強い陰圧をかけて点滴内容物を検体として吸引するような場合には, 当然培養陰性の結果は起こり得ると思います。従って, 状況は“程度問題だ”と考えますが, “しなくてもよい状況なら, しないことに越したことはない”というのが私の意見です。また抗菌剤ではないものの, 抗がん剤の一部にも抗菌活性がありますので[http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/kagaku-ryoho.html], 敢て点滴部位の近傍で採血することはないと考えます。でも, そこしか採血できる場所がないのなら, そこで採血するしかありません。点滴の内容を確認し, 必要なら採血している間, 点滴の滴下を止めることも可能でしょう。

(琉球大学・山根 誠久)


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