07/03/14
07/03/16
■ 大腸菌群と大腸菌試験で「陰性」の場合の記載方法
【質問】
 冷凍食品会社で品質部門を担当しています。冷凍食品の大腸菌群と大腸菌試験で「陰性」の場合の記載方法について教えてください。

 大腸菌群・・・100倍試料液1 mlを2枚のデソキシコーレイト培地にそれぞれ接種して,「陰性」の場合の記載方法は「陰性/0.02 g」でよろしいのでしょうか, それとも「陰性/0.01 g」でしょうか。

 大腸菌・・・100倍試料液1 mlを3本のEC培地にそれぞれ接種して,「陰性」の場合の記載方法は「陰性/0.03 g」でよろしいのでしょうか, それとも「陰性/0.01 g」でしょうか。

【回答】
 「食品衛生小六法」の冷凍食品では, 大腸菌群試験法について, 氷菓の成分規格に準じて行うよう示されています。氷菓の成分規格には, 全部融解させ, その10 mlを共栓ビンにいれ, 滅菌生理食塩水90 mlを加えて10倍希釈したものを試料とし, シャーレ2枚へそれぞれ試料を1 mlとり, デソキシコレート寒天培地で培養し, 暗赤色の集落を認めなかったものを「推定試験陰性」とすると記載されています。質問者の大腸菌群試験の場合, 100倍希釈を用いているので「推定試験陰性」と報告できるか否か疑問が残ります。仮に, 「食品衛生小六法」とやり方がまったく同じなら, 大腸菌群試験の結果を「推定試験陰性」と報告し, その場合, 「何グラム中」を省略して小六法に従ったことを明記します。社内の記録とする場合は, 自主管理なので特に決まりはないと思います。回答者の考え方を記述しますと・・・質問の場合, 両方とも大腸菌群コロニーを認めなかったので菌数としては“0 (ゼロ)”です。ここで, 検出限界を考える必要があります。仮に2枚の平板に1 CFUずつコロニーを確認した場合は, 平均して1 CFU/0.01 gとなり, 検体1 g当たりに換算すると100 CFU/1 gとなります。しかし, 質問者のやり方ですと, 10 CFU/1 gの大腸菌群が存在していても検出できません。以上のことより, 質問者の場合の報告は<100 CFU/gということになります。質問者の大腸菌試験の場合, 「食品衛生小六法」の冷凍食品のE. coli試験法と同じと考えられます。3本のEC培地で, すべてガスを認めなかった場合は, 「推定試験陰性」とすると記載されています。この場合も大腸菌群と同様に,「何グラム中」を省略して小六法に従ったことを明記します。仮にその中の1本が陽性の場合は, 検査した検体がE. coli陽性となり,「何グラム中」は問題になりません。結果報告は, 検査の方法に因りますので, 貴社でのSOP (standard operation procedure: 標準作業手順) を明確にする必要があります。

(日水製薬・小高 秀正)
【読者からの関連質問】
 冷凍食品を輸入販売しております会社で品質管理を担当しております●●と申します。いつも拝見して勉強させていただいております。3/14に記載された標題の件[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/daichokin-shiken-insei.html]について質問をさせていただきたくメールを致します。

 大腸菌群と大腸菌試験で「陰性」の場合の記載方法の質問に対し, 回答者は氷菓の成分規格に準じて10倍希釈で暗褐色コロニーを認めなかったものに対し「推定試験陰性」といい, 100倍希釈では疑問が残ると回答しておられます。確かに「 (1) 3. 大腸菌群試験法 第1 食品の部D 各条の項の○ 氷菓の1 氷菓の成分規格の(3)の3. に準じて行う」と記載されていますが, その前の(1) 1. にて (長くなりますが転記します)

(1) 1. 検体の採取および試料の調製

 冷凍したまま容器包装の表面をアルコール綿でよくふき、滅菌した器具を用いて開封し、その内容の全体を細切りした後無作為に25 gを無菌的に滅菌ホモジナイザーにとり、滅菌リン酸緩衝希釈水225 mlを加えて細砕する。その10 mlを滅菌ピペットを用いて滅菌試料びんにとり、滅菌リン酸緩衝希釈水90 mlを加えてよく混和し、これを試料原液とする。

 細菌数 (生菌数) の測定に関しては、1平板に30〜300の集落がえられるように滅菌リン酸緩衝希釈水で試料原液を段階希釈したものを試料とし、大腸菌群の試験に関しては、試料原液を試料とする

 冷凍食品については, 試料原液は100倍希釈されたものと定義し, そのうえで (試料原液以外の) 手順 (方法) は氷菓に準じるとされていると解釈しておりました。冷凍食品のみ, 何故100倍希釈なのか疑問は残りますが, 規格基準に則って検査を行っていると云うことで「推定試験陰性」とは云えないのでしょうか??? 以上, 回答を宜しくお願いいたします。

【回答】
 ご指摘有難う御座いました。再確認したところ, ご指摘の通り試料原液は100倍を使い, “試験方法のみを氷菓の成分規格に準じて行う”と記載されていました。このことから, 最初の質問者のやり方はこの方法と同じなので「推定試験陰性」とするのが正しいと考えます。よって, 回答者の大腸菌群試験に関する回答は間違いでした。深謝いたします。

(日水製薬・小高 秀正)

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