07/11/21
07/12/11
■アイスクリーム部分とトッピング部分の微生物検査
【質問】
 初めてメールをさせていただきます。食品メーカーで品質管理をしております■■と申します。アイスクリーム類の検査について質問いたします。

先日, 取引先から, 弊社が販売した商品 (種類別アイスクリーム) から大腸菌群が検出されたとの連絡が入りました。販売した商品というのは, アイスクリーム部の上に冷凍の果実がトッピングされているものです。取引先では, アイスクリーム部分とトッピング果実, すべてを混ぜたうえで, 試料として検査に用いたとのことです。アイスクリームの検査の場合, このような商品は, トッピング果実を混ぜて検査試料とすべきなのでしょうか??? 私は今まで, アイスクリームの衛生規格である大腸菌群「陰性」というのは, 洋菓子の場合と同様, アイスクリーム部分のみ (果実部を除く) と考えており, 自社の検査ではトッピング果実を除いて検査をしていたのですが, これは間違った解釈なのでしょうか??? 知識不足のため、教えていただければ幸いです。

【回答】
 冷凍果実は冷凍食品の無加熱摂取冷凍食品に分類されると考えます。食品の規格基準では, これに属する食品は大腸菌群「陰性」です。質問者の会社が冷凍果実を仕入れるとき, 大腸菌群「陰性」であることを確認すれば, アイスクリーム部と冷凍果実を混ぜて大腸菌群検査をしても「陰性」になるはずです。

(日水製薬・小高 秀正)

【追加質問】
 “アイスクリーム部分とトッピング部分の微生物検査”[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/ice-cream.html]についてご回答いただきありがとうございました。無加熱摂取冷凍食品の大腸菌群が「陰性」であればアイスクリーム部と混ぜても「陰性」であるとの見解についてですが, 無加熱摂取冷凍食品とアイスクリームの大腸菌群を検査するときの試料原液の希釈は異なります。無加熱摂取冷凍食品は100倍希釈で, アイスクリームは10倍希釈です。したがって, 冷凍果実 (無加熱摂取冷凍食品) を事前に検査して「陰性/0.01 g」を確認しても, それをアイスクリーム部と混ぜた時に必ずしも「陰性」になるとは限らないのではないでしょうか??? 

 アイスクリームのトッピングなどに冷凍果実を使って種類別アイスクリームとする場合, 使用する冷凍果実はアイスクリームの細菌規格 (大腸菌群10倍で陰性) に準じなければならないということでしょうか??? アイスクリームに使用する以上, アイスクリームと同等レベルの細菌規格原料を使用するべきであるということは理解できますが, そのことが記載されている参考書 (成書) はありますか??? もし, そのような文章をご存知でしたら, 教えてください。

 アイスクリームに冷凍果実をトッピングする場合は, 冷凍果実も含めて微生物検査をするというきまりがあるのでしょうか???

【追加回答】
 総合食品事典第六版 (桜井芳人編, 同文書院) によると,「アイスクリームはクリームに牛乳 (あるいはバター, 粉乳, 練乳), 砂糖, 香料, 安定剤, 乳化剤などを加え, 調整した原料を冷却, 攪拌, 凍結させた氷菓である。食品衛生法によると冷凍乳菓に属し成分規格として1 g当たりの細菌数は10万以下, 大腸菌群は陰性」となっています。獣医公衆衛生学実習・演習 (山田俊雄監修, 文永堂)では, アイスクリーム類の試料の調製 (理化学的検査法) の中で「固化しているものは, 包装容器から全量を取り出し, よく混合する。ナッツ, 果実などを含むものは約200 gをとり, 37℃の水浴で溶解させたものを, 混合物とともにミキサーで粉砕, 混合する。アイスクリームのみを試料とする場合はあらかじめ混合物を取り除いておく」と書かれています。日本アイスクリーム協会へ問い合わせたところ,「トッピングであれ, アイス部分であれ, 一体のものですから, 混ぜて検査することになります」という返答でした。取引先と質問者の会社の関係はよくわかりませんが, 取引先の検査方法で検査して, 大腸菌群陰性のものを納品するようにすることが最善でしょう。または, 上述のようにアイスクリームは氷菓ですから, 全部混ぜて氷菓の大腸菌群検査法に基づいて検査できると考えます。

(日水製薬・小高 秀正)


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