09/03/09
■ 健康診断でのHBs抗体
【質問】
 こんにちは。私は病院で職員健診を管理している検査技師です。

 B型肝炎ワクチンについて調べていたところで, こちらのQ&Aがとても参考になりました。現在当院では, 看護師健診を年2回しています。同時にHBs抗体とHCV抗体も調べています。ほとんどの看護師がHBs抗体陽性です。陽性なのに, 年2回, いつも調べるというのはどうなのでしょうか??? ちなみに検査法はイムノクロマトです。HBs抗体 (精密) は, 検査センター依頼項目 (値段も高い!) なので, 年2回は現実的ではありません。感染予防を考えると, カットオフ値のわからないイムノクロマトではダメですか??? HBs抗体は, どの方法で, どの程度の間隔で調べるのがいいのですか??? よきアドバイスをお願いします。

【回答】
 状況を正確に判断できないので正しい回答になっているのか否か, 定かではありませんが, 健康診断を受診する看護師の方はほとんどがB型肝炎ウイルスワクチンを接種され, その結果, ほとんどの方がHBs抗体「陽性」であると理解したうえで回答します。

 ワクチン接種を受けて, その後毎年, 年2回HBs抗体の検査を実施するのは過剰な医療サービスだと判断されます。ワクチンの効果は, 確実にHBs抗体を獲得した場合, 5年, 10年という単位で継続しますので, 年2回の検査は過剰と判断されるのです。HBs抗体検査を実施するとすれば, (1) ワクチン接種後の早い時期, 確実に抗体を獲得したこと (seroconversion) の確認, (2) その後, お望みであれば, 数年毎に有効な抗体濃度 (10mIU/ml以上) を保持していることを確認します。

 検査方法はイムノクロマトでも充分でしょう。確かにイムノクロマトは感度は悪いですが(検出限界は[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/hbs-koutaika.html]のA社を参照。ほぼ30 mIU/ml程度が検出限界と判断できます), この方法で「陽性」であれば充分過ぎる (10 mIU/mlを大きく超える) 程のHBs抗体をもつことを意味しますので, まずは安心できる筈です。

(琉球大学・山根 誠久)

【質問者からのお礼】
 適切なご回答ありがとうございました。日頃から疑問に思っていたので, なんだかすっきりしました。職員健診のHBs抗体検査については, 当院の感染対策委員会で検討していくつもりです。職員の健康管理のための健診を目指してがんばります。また質問することがあるかもしれませんが, よろしくお願いします。


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