07/10/26
07/10/30
■ 血液培養の採取手順
【質問】
 ●●県○○病院内科の■■といいます。

 現在, 血液培養検査の手順を見直しております。採血後の血液培養ボトルの注入の順番について質問します。嫌気性ボトルに最初に注入することは, CDCやCUMITECHのガイドラインに推奨されたことなのでしょうか。大量の空気を入れないことに注意すれば, 好気性, 嫌気性のどちらを先に注入してもかまわないと思いますが, 如何でしょうか。

【回答】
  既にこの質問には回答しています。「血液培養で嫌気ボトルが先???」[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/kenki-bottle-saki.html]を参照してください。

「Cumitech 1C」には, 特にボトル注入の順番については記載がありません。血液培養の検査手順を見直されているとのことですが, 是非この機会に下記の資料を入手して参考にされるといいと思います。徒に和訳本を利用するのではなく, 是非原本を参照してください。和訳本には誤訳やニュアンス, 軽重の記載に誤りがしばしばありますので。

Principles and Procedures for Blood Cultures (M47-A), Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), 2007

会員価格 $60, 非会員価格 $120
http://www.clsi.org]より発注可能

(琉球大学・山根誠久)
【追加確認】
 回答ありがとうございました。先の回答は既に見させてもらいました。

 結論は, エアについては気にせず, 好気性→嫌気性の順に入れるのですね。今まで, 嫌気性ボトルにエアを入れてないために, 最初に嫌気性ボトルに入れることより, 十分な血液量を好気性ボトルにまず注入したほうがよいと理解してよろしいでしょうか。昔からの誤解 (???) でエアを入れないことが重視され, 嫌気性が先と言われていましたが, 好気性にまず十分量を入れなさいと指導したほうがよいですか???

【追加回答】
 多くの方が誤解しているのは, 嫌気培養ボトルは厳密な意味で“嫌気状態での培養”を保証しているものではありません。また菌量によっては好気培養ボトルでも偏性嫌気性菌は充分に発育してきます。嫌気性菌が多少発育し易い性質をもった培地が充填されたボトルと理解されたらどうでしょう。私としてはむしろ, 一部の好気培養ボトルに“vent (注射針だけを刺して通気して, ボトル内を常圧にする)”することが求められているものがあることも知って欲しいのです。現在でも, すべての細菌微生物を数種類の液体培地のみで発育させることはできません。しかし, 確率 (分離菌種と培地性能) からして, 現在の“好気培養ボトル”が最も分離能が高く, 最も優先して選択, 検査すべきものだと考えられます。

 付言すれば, 現在でもなお嫌気培養ボトルを敢て併用する意味があるのか, 学術的議論は結論を得るに至っていません。私個人は, 好気培養ボトルのみでも良いのではと考えています (検査費用は, それだけで半分になります)。

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 詳細な説明ありがとうございます。嫌気性ボトルに最初に注入すべきと言う先生に, 説得するのが大変です。


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