08/07/22, 24
■ 病院職員のネームカードへのHBs抗体有無の表示
【質問】 
 総合病院で検査を担当するものです。休日体制を考慮した“針刺し”に関して教えてください。

 当院では, HBs抗体検査が休日では測定できないため, 各職員の名札の中にHBs抗体の保有状況を記載したカードを入れ, 針刺しが起こった時に正確な情報を把握することを考えていますが, 会議にて個人情報に関して問題がないのか確認する必要を指摘されました。自分の情報を各個人が管理することになるので問題はないと考えますが, いかがでしょうか??? 御教授よろしくお願いします。

【回答】
 質問の内容からして, これは病院の“ポリシ−”決定に属する問題です。針刺し事故が発生した時, 当該職員への対応を迅速に, 適切に行う目的で, 事前にネームカードにHBs抗体保有状況を記載しておく行為は“善意”を意味しますが, 反面, 休日にHBs抗体検査ができない (実施する体制をとらない) のは病院の事情に起因しています。一定の選択や決定を行う際には, 得る部分と失う部分があり, それをポリシー決定者が最終判断して, 責任を負うことになります (が故に, 病院長は高給なのです)。

 HBワクチン接種で陽性となった職員では問題ないでしょう。が, 自然感染でHBs抗体陽性 (HBc抗体も陽性)の方では, 外部者に知られると多少問題が残る可能性があります (オカルト状態: http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/kenketsu-hbc.html)。院内で合意ができれば, 外部者には判別できないような暗号で記載する, あるいは職員の健康状態を把握している病院から任命された“産業医”が休日を含め, 常時, 情報提供するといった選択肢もあると思います。

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 丁寧なご回答ありがとうございます。カードにはHBs抗体価と検査日のみ記載しますので, 抗体はワクチンによるものか自然感染によるものかは判別できないと考えます。最終的には各施設 (長) のポリシー決定となることよく理解できました。しかし, 現在, それ以前に個人情報保護法に抵触する (可能性がある) ため, ポリシーとしてどうするかが検討されない状況です。その後, 総務省に個人情報保護法に抵触するか否か問い合わせしたところ, 個人情報保護法的には問題ない (しかし強制はできない) とのことです。後は, 各施設の規定等と照らし合わせて検討すべきとの但し書きがありました。

 頂いたご回答を各方面と協議し, 前向きに取り組んで行きたいと思います。他の選択肢まで提示していただき感謝いたします。


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