07/12/30
08/01/10, 02/24
■ 乳酸菌含有食品での一般生菌数測定法
【質問】
 乳酸菌含有の健康食品の一般生菌数の測定法について教えてください。

 標準寒天培地で培養すると, 乳酸菌がシャーレの全面に発育してしまい, どれが一般細菌なのか判定するのに困っています。乳酸菌の発育を抑制するものでも添加するのでしょうか??? 他社試験室では乳酸菌製品をどのように検査されていらっしゃるのでしょうか???

未熟な質問で申し訳ありませんが, どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】
 乳酸菌加粉末清涼飲料の細菌数測定法を参考に検査してみてはいかがでしょうか。本試験は, 1.0μg/mLペニシリンGカリウム添加ブドウ糖加寒天培地と4%塩化ナトリウム含有BCP加プレートカウント寒天培地を用いて, それぞれの培地で発育した菌集落数の“差”を細菌数とする方法です。なお, 発酵乳・乳酸菌飲料, ナチュラルチーズ, またこれらを含む加工品などでは細菌数の基準はありません。大腸菌群など, 他の指標菌をもって衛生管理指標とすることをお勧めします。

(栄研化学・柳沼 健史)
【追加質問】
 ご回答ありがとうございました。ぜひ参考にさせていただきます。

度々で申し訳ございませんが, 日健協の規格では乳酸菌利用食品の衛生基準は一般細菌数が3000個/g以下, 大腸菌群陰性となっておりますが, 自主規格を制定する際, “大腸菌群のみ”でも問題ないのでしょうか???

ご指導よろしくお願いいたします。

【回答】
 ご質問の自主基準とは,「自社製品の衛生管理を目的とした微生物基準のこと」すれば, 製品の特性, 製品の取り扱いの違いによる微生物の製品に及ぼす影響, 人に対する危害等を考慮した微生物基準, および製品製造の管理基準を設定する必要があります。

 微生物基準の設定に際しては次の書籍をご参考ください。

(1) 小久保彌太郎編: 現場で役立つ食品微生物QandA. 中央法規出版, 東京, 2005.

(2) 春田三佐夫監修: HACCPにおける微生物危害と対策. 中央法規出版, 東京, 2000.

(3)倉田浩ら: 改定食品衛生における微生物制御の基本的考え方. 日本食品衛生協会, 1994.

 また, 「JHFA認定マーク」表示許可取得への影響については, 日健協[http://www.jhnfa.org/]に健康補助食品相談室が開設されておりますのでお問い合わせください。

(栄研化学・柳沼 健史)


【読者からの意見】
 有効な情報の場を提供いただき, ありがとうございます。また, 回答者の方々にも深くお礼申し上げます。下記の内容について疑問がありましたのでメールさせていただきます。

「乳酸菌含有食品での一般生菌数測定法[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/nyusankin.html

 回答者の方が提示されている検査方法は, 食品衛生法に記載のものと理解しています。回答内容に,「それぞれの培地で発育した菌集落数の“差”を細菌数とする方法です」とありますが, これは誤りではないでしょうか。食品衛生法では以下のとおりとなっています。

(厚生労働省の「法令等データベースシステム」に示されている「食品衛生法」の「食品、添加物等の規格基準」の「乳酸菌を加えた粉末清涼飲料」の「細菌数」よりコピー&ペースト)

「aの培養において算定した細菌数とbの培養において算定した細菌数を合計した数を求める細菌数とする」なお、 aの培地は「ペニシリンGカリウム添加ブトウ糖加寒天培」、 bの培地は「4%塩化ナトリウム含有B.C.P.加プレートカウント寒天培地地」です。以上のとおり、「差」ではなく「合計」ではないでしょうか

【回答の訂正】
「乳酸菌含有食品での一般生菌数測定法」についてのご指摘, ありがとうございます。この回答は「食品添加物等の基準基準 第一 食品 D 粉末清涼飲料(4)」からの引用です。ご指摘の通り“「差」ではなく「合計」”です。つきましては, 速やかに訂正させていただきます。


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