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【質問】
私は●●県薬剤師会にて微生物試験を担当しております■■と申します。いつも参考にさせていただいております。
今回, 化粧品の微生物試験を実施するに当たりTween 80にて試料溶液調製を行うのですが,
試料調製時や培地中へのTween
80添加最大量についての記載が見つかりません。以前の質問で“Tween
80が微生物の増殖を促進する”[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/tween.html]といったものがありましたが,
添加濃度によっては逆に増殖を阻害する効果が生じることはないのでしょうか???
試験検体が脂溶性の為, 試料溶液中のTween 80の濃度がかなりの高く (10%程度に)
なってしまいます。もし, 増殖を阻害するようならば, 他に適切な脂溶性試料の調製方法がありましたら併せて教えて頂けますでしょうか。よろしくお願い致します。
【回答】
化粧品および医薬品の微生物試験において, 脂質製品については界面活性剤などを用いて希釈液中に試料を乳化・分散する必要があります。第15改正日本薬局方
(JP) では「10 g又は10 mLを量り、ポリソルベート20又はポリソルベート80のような界面活性剤を用いて、上記の緩衝液又は液体培地中に乳化させて100
mLとし、試料溶液とする」とされており, 界面活性剤の濃度は明記されていません。これについては,
文献を調査したところ, 赤座ら (2002年) が検討していることを確認しました。詳細は参考文献を確認ください。要約しますと,
赤座らは界面活性剤の濃度および試料の調製方法について検討し, 以下の点について確認しています
(1) 検討した菌株のなかでは, P.aeruginosaが菌の生存において大きく影響を受けた。
(2) Pseudomonas spp.の生存率に影響を与えない濃度は, ポリソルベート20では20%,
ポリソルベート80では30%以下。
(3) 製品の性質によって影響は異なるため, 微生物試験の実施に際しては,
試料および試験目的に対して適切なバリデーションを行い, 界面活性剤の種類および使用濃度を設定する必要がある。
〔参考文献)
赤座誠文, 他: 脂質製品の微生物試験に用いる界面活性剤の指摘濃度. 防菌防黴
30 (1): 3〜11, 2002.
(日水製薬・三品 正俊)
【質問者からのお礼】
ご回答ありがとうございます。早速, 参考文献も確認しようと思います。
質問時にお伝えした試料溶液中のTween 80の濃度ですが, その後の検討により,
さらに高く (50%程度に) なりそうです。以前の質問においても[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/tween.html],
抗菌活性を示さないとあり, ご返答にもありました第15改正日本薬局方
(JP) における試料調製法にもTween 80の使用が記載されていますが, 今回当方が使用する濃度よりは低いようで気になっておりました。また,
菌種においてもP. aeruginosaに影響があるということで, 当方では細菌数および真菌数の試験においてポリソルベート80を使用する予定でしたので,
やはり使用に際して, 今回のご回答を参考に, さらに検討を行うことに致します。お忙しい中,
丁寧なご回答ありがとうございました。
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