07/06/12
■ 輸入食品での大腸菌群および大腸菌
【質問1】
 単純な質問で申し訳ございませんが, 1件ご回答お願いします。私は食品輸入商社の開発部門の株式会社●●の■■と申します。

 当社では, “中国から冷凍加工食品を輸入”しております。未加熱摂取冷凍食品と凍結前加熱の和惣菜の商品ですが, 一般生菌数は10万個以下, 大腸菌群「陰性」の規格基準で生産流通しております。質問ですが・・・「大腸菌群の陰性の意味は???」・・・ある人は100個以下を陰性とみなし, (別の人) はゼロを陰性とみなし, はっきり分かりません。ゼロからいくつまでが陰性か, いくつ以上が陽性か, ご回答をお願いします。宜しくお願いします。

【質問2】
 初めて質問させて頂きます。当社にて, 海外からある乳製品原料を輸入しようと検討しております。その商品の微生物規格によりますと, 大腸菌は「陰性」, 大腸菌群は100 cfu/gram以下の規格値でした。通常, 食品には, 大腸菌群は「陰性」であるべきとなっていると思いますが, この場合, 大腸菌群は「陰性」とは書けないのでしょうか??? また, 測定法の違いにより, 「陰性扱い」となる場合はありえるのでしょうか??? お忙しいところ, ぶしつけな質問で申し訳ありませんが, よろしくお願いします。

【回答】
 質問1への回答: 食品の規格基準には「大腸菌群は陰性でなければならない」と記載されています。食品衛生法で定めた方法で検査して, 「陰性」 (菌数ではない)ということです。この場合の試験方法は, この質問箱[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/daichokin-shiken-insei.html]に記載されています。食品衛生法で定めた方法で試験する場合, サンプル調製と培地接種量から計算が出来ますが, あくまでも菌数ではなく, 大腸菌群の存在の有無がポイントです。多くの方々が混同されている要因として, 食品衛生法はデソキシコレート寒天培地を菌数測定として用いているのではなく, 定性 (大腸菌群の存在の有無を調べる) として用いていますが, 微生物学 (調査や研究など) で, デソキシコレートを用いるときには大腸菌群の菌数測定として用いていることに因ると考えられます。

 質問2への回答: 日本の乳等省令では, 大腸菌に関する規格はなく, 大腸菌群のみの規格です。乳等省令における大腸菌群検査は, アイスクリーム類 (アイスクリーム, アイスミルク, ラクトアイス) を除いて, BGLB培地を用いて検査します。検体10 gに滅菌生理食塩水を加えて100 mlとして10倍希釈液を検体 (試料原液) とします。試料原液, 10倍希釈液, 100倍希釈液の各1 mlを2本ずつBGLB発酵管に接種して, 32_35℃で48時間培養します。ガス発生を認めないものは大腸菌群「陰性」とします。ガス発生を認めた場合は, 食品衛生六法などを参考にして大腸菌群が存在しているか否かを確認します。アイスクリーム類は, 検体10 gに滅菌生理食塩水90 mlを加えて10倍希釈液とします。この試料1 mlずつを2枚の滅菌シャーレへ採ります。これにデソキシコーレイト寒天培地を10_15 ml加えて混釈培養します。32_35℃で20時間培養して集落の有無を確認します。暗赤色の集落を認めたものは, 推定試験「陽性」とし, 該当しないものは推定試験「陰性」とします。推定試験が「陽性」の場合には, 食品衛生六法などを参考にしてその集落が大腸菌群か否かを確認します。質問者の記載の通り, 試験方法が違えば結果の表記の仕方も変わります。未だ, 世界中の検査方法がまちまちです。輸入する国と日本の検査方法の違いを考慮して考える必要があります。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 ご返答ありがとうございました。海外とのやりとりを密にして, もう少し調査してみます。


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