■「チール・ネルゼン染色」にエコエタノール | |
【質問】
いつも拝見し, 勉強させていただいております。抗酸菌染色である「チール・ネルゼン染色」について質問させていただきます。 当施設の塩酸アルコールは, 消毒用エタノールに塩酸を混ぜています (厳密には違うことは承知です)。最近, 酒税のかからない「エコエタノール(ユーカリ油入り)」が発売されています。まだ検討はしていませんが, このエコエタノールを用いた時, 染色に問題は生じないでしょうか??? よろしくお願いします。 【回答】
さて, 抗酸菌染色でのアルコール使用量ですが, Ziehl-Neelsen法による塩酸アルコール脱色では, 検体の種類や状態に応じて使用量が異なるように思われます。これに対し, 脱色と後染色を同時に行える“Ziehl-戸田法”なら, 一定量 (約 1 ml) の後染色 (しかも安価なメタノールで) のみで経済的と考えます。もちろん, “Ziehl-戸田法”での抗酸菌検出率を疑問視する方もいますが, 私の経験ではZiehl-Neelsen法と“Ziehl-戸田法”で, ほとんど差は見られませんでした。 また, グラム染色についても, 自動染色装置を利用することにより, 染色液や脱色用アルコールを無駄なく利用でき, 経済的と考えます。 日常の緊急検査で染色標本での鏡検が重んじられてきた現在(“検体検査管理加算”に伴う細菌顕微鏡検査)[http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/kentai-kanrikasan.html], 操作が簡便で, 日頃細菌検査に携わっていない技師でも手軽に行える手技, 手法の見直しも大切だと思います。 ◆Ziehl-戸田法: 東京医事新誌, 3064, 1937.
追記: 『エコ』について
(大手前病院・山中 喜代治)
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