02/11/05
■ 菌数測定の再現性, 互換性は???
【質問】
 大腸菌検査について教えていただきたいのですが。
 排水の大腸菌群数を最確数法により, 何ヶ所かの分析機関が分析したのですが, 結果が大幅 (10〜100倍) に違ってしまいました。細菌の検査, 最確数法などによってはこのような結果が出る事があるのでしょうか???
 以上の件に関して教えていただきたいのですが, また文献やホームページなどがありましたら, 教えていただきたいのですが, よろしくお願いします。

【回答】
 大腸菌群の検出のうち, 菌数が多い場合は寒天培地を用いた希釈法 (ミスラー法など) により実測値を求める方法が一般的ですが, やや少ないと予想される場合は液体培地を用いた試験管法により確率論的にMost Probable Number (MPN) 値を求める方法が利用されています。MPNは数段階に希釈した試料を数本ずつ液体培地発酵管で培養し, 大腸菌群の存在を定性的に判断します。例えばMPNで大腸菌群“陰性”という意味は, 「被検水 50 ml 中に大腸菌群が検出されなかった」ということになります。故に, おおまかな判断と言うことになりますので, 測定方法によって若干の誤差が生じてきます。即ち, (1) サンプル採取法, (2) サンプル分割法, (3) サンプル保存法, (4) サンプル輸送法, (5) 測定に使用したサンプル量, (6) 測定に使用した培地の種類, (7) 培養方法と判断, (8) 測定者の技術などの要因が関与してくることになります。もちろんこれらを統一したゴールデンスタンダードが制定され, トレーニングされた技術者が行なえば誤差も少なくなるものと予想されます。
 類似質問が寄せられた本質問箱でも, 過去に回答しておりますのでそちらを参考にしてください。
http://www.jarmam.gr.jp/situmon/daichokin.html
http://www.jarmam.gr.jp/situmon/suidou_daicho.html
 また液体培養法の工夫やMPN計算法などのホームページについても紹介しておきます。
http://www.eic.or.jp/QA/bbs02.php3?serial=922

(大手前病院・山中喜代治)

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