08/06/30
Aspergillus nigerの菌数調整
【質問】
 ●●県公衆衛生検査センターの■■と申します。日局の微生物限度法についてサブロー培地の性能試験について伺います。

 私どものラボでは現在, Aspergillus nigerの菌数を調整する際にPDAスラントで5〜7日間培養したものを滅菌生食で洗ったものについて血球計算盤をもちいて行っています。この方法では非常に時間と手間が掛かり効率的とは言えません。他にA. nigerの効率が良いと思われる調製方法はないでしょうか???

【回答】
 まず, 以下の「質問箱」を参考にしてください。

http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/aspergillus-niger.html
http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/kyokuhou.html

これらのQandAを抜粋して記載します。

 Aspergillus nigerの“胞子液”を準備するには, 中試験管にポテトデキストロース寒天培地で斜面培地を作製します (10本程度)。そこにA. nigerを接種して20℃〜25℃で1週間程度培養します。充分な発育を認めたら, ポリソルベート80を0.05%の割合で添加した滅菌生理食塩水を試験管の中に入れ, 胞子を洗います。液体中に集められた胞子液をピペットで集め, 滅菌した栓付きボトルに集めます。回答者が行う方法では, これをさらに滅菌ガーゼで漉して余分な寒天などを取り除きます。この胞子液の菌数測定は, ポテトデキストロース寒天平板培地 (よく乾かす) に10倍段階稀釈した胞子液の0.1 mlをコンラージ棒で塗抹します。20℃〜25℃で培養し, 3日目当たりから観察を始めます。最初は白い小さなコロニーを認め, 培養時間が長くなるとコロニー自体が大きくなり黒い胞子を形成します。培養がさらに長くなるとコロニー同士がくっついて菌数測定は困難になりますが, シャーレの裏側から観察すると発育の“中心点”を見つけやすく, 大きな誤差なく測定できます。胞子懸濁液の安定性についてですが, 回答者の経験では胞子液を冷蔵庫に保管した時, 6ヶ月後でも充分に培地性能試験に使うことができました。使う前に胞子液を観察して, “ふわふわしたもの”を認めた時は使うのを止めた方が無難です (菌数が違ってくるため)。通常は容器を攪拌すると, “さらさら”した均一の黒い液体のように見えます。

(日水製薬・小高 秀正)


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