07/06/25
■ 大腸菌の陽性判定について
【質問】
 いつもお世話になっております。(株) ●●品質管理室の■■と申します。表題の件につきましてご質問があります。

 私の会社では大腸菌 (E. coli) 検査を, BGLB→EC→EMB→IMViC という流れで実施しております。先日のある検体 (食品) で, EMB培地ではっきりとした金属光沢のコロニーが出たにもかかわらず, IMViC試験のクエン酸利用能試験で陽性 (培地が青変) になり, 「++−+」という結果で, 最終的に“大腸菌陰性”と判断したものがありました。今まではたいていEMBまで陽性なら, IMViC試験でも“++−−”となることがほとんどで, 怪しいと思うようなコロニーは, インドール試験やVP試験が外れたため陰性ということが多かったのですが・・・“EMB培地で明らかな金属光沢のコロニーでも, 大腸菌ではない”ということはよくあることなのでしょうか???

 お忙しいところ恐れ入りますが, ご教授頂きたく思います。

【回答】
 “EMB培地で明らかな金属光沢のコロニーでも, 大腸菌ではない”ということは充分にあり得ます。質問者の結果(IMViC試験で「++_+」)から, Bergey’s Manual of Systematic Bacteriologyを調べますと, Citrobacter amalonaticus (食品, 下水汚物, 水, 土壌, 動物やヒトの糞便から分離されている), C. diversus (下水汚物, 水, 土壌, 動物やヒトの糞便から分離されている), Kluyvera ascorbata (食品, 下水汚物, 水, 土壌から分離されている), K. cryocrescens (ヒトの臨床材料, 病院環境, 下水汚物, 水, 土壌から分離されている) などの菌が当てはまります。これらの菌種は乳糖を分解し, EMB培地上で金属光沢コロニーを形成する可能性があります。特に, Citrobacter amalonaticusC. diversus については, 普通寒天培地上のコロニー形態がE. coliと非常によく似ているとBergey’s Manualに書かれています。以下の質問箱も参考にしてください。

http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/daichokingun-hantei3.html
http://www.jarmam.gr.jp/situmon/emb_daichokin.html

(日水製薬・小高 秀正)


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