09/10/29, 04
■フェノールレッド試験管培地での炭水化物発酵試験
【質問】
 こんにちは。初めまして。私はアメリカで微生物学の勉強をしております●●と申します。いつも「質問箱」のほう, 拝見させていただきまして, とても参考になり感謝しております。

 今, フェノールレッド試験管培地でSaccharomyces cerviseaStaphylococcus epidermidisを用いて, 炭水化物発酵実験というのをやっております。レポートの中に, なぜ糖類 (グルコース, フルクトース, マニトール) をそれぞれのフェノールレッド試験管培地内に入れてから12時間で判定しないといけないのか, なぜ24時間経ってから判定してはいけないのかについて書かなければいけないのですが, 考えても調べても, なぜそれがいけないのかわからなくて困っております。正しい判定ができないからということであるのはもちろんわかっているのですが, なぜ正しい判定ができないのかについては, どうしても具体的な理由がわかりません。お忙しいところ恐れ入りますが, それについて, どうか教えていただけないでしょうか。よろしくお願い致します。

【回答】
 簡単にお答えするとすれば, ご質問の内容からは適切な回答は不可能です。というのは,「フェノールレッド試験管培地」とはどんな培地でしょうか??? これが判らない限りお答えできません。また, 供試菌は「Saccharomyces cervisea」と「Staphylococcus epidermidis」に限定しての回答で宜しいのでしょうか??? それから, 調べる糖は「グルコース, フルクトース, マニトール」に限定しての回答で宜しいのでしょうか???

 糖の分解性を調べる培地はたくさんあります。フェノールレッドを指示薬とする培地もいくつもあります。調べる培地 (含有組成成分/含量や斜面/高層斜面培地等々) によって培養時間も異なって来ます。フェノールレッドを指示薬とする培地でも, 培養時間を数日〜それ以上に延長して判定する場合もあります。とにかく、「フェノールレッド試験管培地」だけでは質問内容が正確に判りません。

 なお, 「Saccharomyces cervisea」や「Staphylococcus epidermidis」はいずれも gluconeogenesis (糖新生) という性質をもっています。「フェノールレッド試験管培地」はヒョッとしてCTA培地の類いなのでしょうか??? 仮にCTA培地の類いであるとすれば, 長時間の培養で正しい成績が得られなくなることは充分に考えられます。まさに糖新生による現象「 http://www.jarmam.gr.jp/situmon/toubunkai.html」が長時間の培養で発生する「 http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/staphylo-toushinsei.html」ことが考えられるからです。このような回答でご了解いただけるでしょうか。

(信州大学・川上 由行)


【質問者からのお礼】
 お忙しい中, ご回答してくださりありがとうございました。質問時の私の説明が不足していましたようで, たいへん申し訳ありません。回答のほう了解致しました。フェノールレッド試験管培地につきましては, Phenol Red Broth (pH indicator) との記載しかラボマニュアルには載っていないのですが, CTA培地の構成成分のうちのひとつであるということが載っておりました。この試験管培地の中にDurham Tubesというのを逆さにして入れて, 気体が発生するかどうか, フェノールレッド試薬が赤から黄色に変わるかどうかをテストしました。私なりに考えてみたのですが, 時間が経ってしまうと糖分解後の細菌類からの排出物などで培地の状態が変化してしまうため・・・とも思ったのですが 一般的なひとつの回答として, なんとか合ってはおりますでしょうか・・・ 回答者が貼ってくださったリンクのほうもたいへん参考になりました。ありがとうございました。
(追記) 本当に申し訳ありません。Phenol Red試験管培地はPeptone (ペプトン) とのことでした。


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